リカルド・サレス環境相が17日に法定アマゾン保護のためのアマゾン基金のあり方を批判、14日には8月開催予定のサルバドールでの環境会議キャンセルを発表した事が、国内外で物議を醸したと14~20日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
2008年創設のアマゾン基金は、ノルウェーやドイツ、ペトロブラス社からの資金を社会経済開発銀行(BNDES)が運用している。基金の大半はノルウェーとドイツからの寄付で、寄付金の額は18年12月だけで2億7120万レアル、累積では46億レアルに達しているが、寄付金は法定アマゾンの森林伐採量が増えれば減らすなどの条件がある。
環境相は17日の記者会見で、「同基金の支援を受けている103件のプロジェクトに関する契約の4分の1を見直したが、資金の大半を職員給与に当てるなど、運用のあり方に問題があり、効率性にも疑問がある」と批判。基金運用の責任者のBNDES職員も更迭した。
環境相は会見時、ブラジル駐在のノルウェー大使やドイツ大使とも既に話したと語ったが、両国の大使館関係者は、16日の電話で17日に記者会見を行うと連絡を受けただけで、BNDESの人事などは説明されていないと明言。同基金への寄付は厳正な審査を経て行われており、契約違反などはないと苦言も呈した。
環境省がBNDESに送付した資金運用に関する調査報告書は、会計検査院(TCU)や国庫庁(CGU)にも送られ、監査を受ける予定だ。
同相は14日も、外務省やサルバドール市の了承もなく、テメル政権が招致し、8月19~23日にサルバドール市で開催予定の「ラ米・カリブ諸国による環境週間」を、「観光が目的で、(伝統料理の)アカラジェを食べるだけのもの」との理由でキャンセルした。サルバドール市のACM・ネット市長は15日、公式訪問中の英国から国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の責任者に、「連邦政府が参加しなくても同市は開催を希望」と大慌てで連絡を入れたという。
環境省はその後、外務省やサルバドール市長と話し合い、19日に、8月の会議開催と、11月にチリで開催される第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)への参加を明言した。COP25はブラジルで開催される予定だったが、ボルソナロ大統領が当選直後に開催辞退を発表し、チリ開催となっていた。環境週間はCOP25への準備的な意味を持つ。
タグ:チリ 写真ニュース アマゾン サルバドール ボルソナロ