22日に下院本会議で、省庁削減に関する暫定令(MP)870号に関する投票が行われ、僅差ながら、賛成過半数で承認された。だが、セルジオ・モロ法相が強く望んでいた金融活動管理審議会(COAF)の法務省復帰はならず、経済省に留まることになった。23日付現地紙が報じている。
「省庁削減」はボルソナロ大統領の大統領選中の公約で、現政権は省庁数を29から22に削減してはじまった。だが、暫定令の有効期間は6カ月間しかなく、6月3日までに上下両院で承認を得る必要があるが、現政権は発足以来、議会内での政局調整(アルチクラソン)が弱く、承認が危ぶまれていた。
ボルソナロ大統領は、17省庁に関してはテメル政権時の形態を維持したが、残る12省庁は、文化省、スポーツ省、治安省、都市省などの統廃合により、「市民省、経済省、法務省、女性家族人権省、地域開発省」の5省に再編成された。
だが、上下両院合同委員会は、MPに含まれ、1月から既に実施されていた、COAFを法務省の管轄下に移すこと、先住民保護区決定権を国立インジオ保護財団(FUNAI)から農地改革院(INCRA)に移すことなどに反対。9日の特別委員会が承認したテキストは、COAFは経済省に、先住民保護区の決定権はFUNAIに戻すこと、FUNAIを人権省から法務省管轄下に戻すことなどを盛り込んだものとなっていた。
22日の下院では、特別委員会から送られたテキストの承認後、本会議で提出された修正案を個別に審議。同日中に審議された修正案にはCOAFを法務省に移す件も含まれたが、228対210で否決された。また労働省と文化省の再生案も否決された。これによって、ボルソナロ大統領やセルジオ・モロ法相が望んでいた、COAFを法務省の管轄下に移すことは再び拒否された。
両院合同特別委員会に引き続き、今回の投票でも与党・社会自由党(PSL)に立ちはだかったのは中道政党群のセントロンで、本会議に出席していたセントロン議員118人中、87人はCOAFを法務省に返すことに反対の票を投じた。
反対者側の言い分の中には、特別委員会でも出たモロ氏への権力集中懸念を反映し、「モロ氏が教育相になればCOAFも教育省に行くのか」と言ったパウロ・テイシェイラ下議(労働者党・PT)のような例がある。「与党下議がネットを使い、議会に圧力をかけていた」ことに不満を示す議員も多かったという。
一例は下院の政府リーダー、ヴィットル・ウゴ下議(PSL)がワッツアップで「連邦議会は金で議員と交渉している」と発言したもので、ロドリゴ・マイア下院議長も「独裁政治的なやり方をする国に民間投資は来ない」と皮肉った。
PSL議員は他にも、フィリペ・バロス下議が、26日に行われる親ボルソナロ派デモへの呼びかけを議会を脅すような口調で行うなどして、問題となっている。