【既報関連】教育関連予算の削減に反対し、国内全州で発生した抗議デモを受け、連邦政府は、緊急時対応資金(reserva orçamentária)の一部、15億8千万レアルを教育省に回すことを決定した。22、23日付伯字各紙・サイトが報じている。
緊急時対応資金は2月末現在で53億7200万レアルあったが、政府はこの中から、21億6600万レアルを予測を下回った税収の埋め合わせに使う意向だ。教育省に回す15億8700万レアルや、環境省に回す5660万レアルは別枠だから、緊急時対応資金からは、およそ38億レアルを放出することになる。これにより、緊急時の防波堤となる緊急時対応資金の蓄えは15億6千万レアル強に減少した。
ただ、教育省の予算削減全てが解消されるわけではなく、54億レアルは引き続き削減されたままだ。
教育省にまわる15億9千万レアル弱は、一旦削減と発表された大学教育関連部門の予算とほぼ同額だが、教育省がこの資金を基礎教育に回すのか、大学教育に回すのかは明らかにされていない。
経済省財務特別局のワルデリー・ロドリゲス局長は、「決定は政治的判断によるもの」としつつも、「デモに政府が折れた」との見方は否定した。同局長は、教育省と環境省に割り当てられた金額の差に関して、「優先順位、緊急性、費用対効果を技術的に判断した結果」と述べた。
政府は3月に、298億レアル分の予算削減を発表した。これは多くの省庁に影響し、一部の省庁は機能停止に陥る危険さえあった。
不況による税収難で、今年のプライマリー収支のバランス目標(赤字1390億レアル以内)を維持するには、さらに22億レアルの予算削減を行う必要があったが、先に挙げた21億6600万レアルはこの分の補填に使われる。
連邦政府は先日、今年のGDP成長率予測を、2・2%から1・6%に引き下げた。市場はさらに悲観的で、1・24%だ。GDP成長が想定を下回ると、税収も減る。財政責任法では、「収支バランス目標の達成が危ぶまれる際、政府は各省庁などに割り当てた予算を削減しなければならない」と書かれている。
「『この金でもう一度状況を見直し、デモが起こるような削減はしないでくれ』とボルソナロ大統領が、ウェイントラウビ教育相に頼み込んだ」と各政党の幹部たちは語っているが、大統領府官房庁、教育省、経済省はそれを否定している。