沖縄フォーラムの3人目の講演者、ドキュメンタリー映画監督の奥原純マリオさん(44、三世)は、大戦中や戦後に日本移民やその子孫が、ブラジル政府から受けた人種差別に対し公式な謝罪要求をしている件を説明した。
「1943年7月に6500人がサントスから24時間以内に強制立退きさせられた先人の経験を、忘れ去ってはいけない。今後、同じ様なことが起きないようにするために、県人会と共に戦い続ける。皆さんもぜひ共通認識を持ち、広く世論を形成してほしい」と熱く呼びかけた。
比嘉アナマリア実行委員長は講評で、奥原さんの発表に対し、「私の両親や親戚もサントス強制立退き者だった。特に母は妊娠7カ月で立退きさせられ、移動の時はベッドではなく机の下に寝かされたと言っていた。立ち退きショックが酷くて一生その精神障害に悩んだ人も。県人会を上げて取り組むべき問題」と語った。
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奥原マリオさんの講演の中で、終戦後に学校などで日系人を虐めるときに良く使われるフレーズとして「Japonês calabrês, foi o diabo que te fez」というのが紹介された。直訳すれば「カラブレーザのジャポネーズは悪魔が作った」という意味。カラブレーザはイタリア南部で、ブラジル移民が最も多くでた州。枢軸国移民の子弟を虐めるときに使った言葉のよう。「イタリア系日系人は悪魔の産物」と言われて、子供心に嫌なモノを感じた人は多かった。事実、比嘉実行委員長も「私も言われた。その時は何を意味するのか分からなかったけど、ジャポネースとジアボが一緒になった言葉だというだけで、すごく嫌な感じがした」とのこと。