28日、ボルソナロ大統領はロドリゴ・マイア下院議長、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長、ジアス・トフォリ最高裁長官を大統領官邸での朝食会に招いた。朝食会は、26日の親ボルソナロ・デモで一部デモ隊の攻撃対象となった連邦議会や最高裁をなだめ、社会保障制度改革実現に向けて団結すると共に、省庁統廃合に関する暫定令870号の上院での審議について話し合うためとされている。28日付現地紙・サイトが報じている。
26日のデモは、社会保障制度改革や金融活動管理審議会(COAF)を法務省から経済省へ戻すことの見直しなどを求めたものだったが、一部勢力がマイア下院議長や中道勢力セントロンを敵扱いして攻撃したり、さらには「連邦議会や最高裁の閉鎖」を呼びかけたりもした。
ボルソナロ大統領は、議会や最高裁への攻撃を「本意ではない」と批判する一方、今回のデモは「古い政治に対する国民の自発的な反応」とし、セントロンの議員たちの心象を悪くした。また、デモの様子をツイッターで拡散して批判も浴びた。デモ隊の要求の中には、連邦議会に最高裁の不正行為を捜査する議会調査委員会(CPI)、別名「ラヴァ・トガ」の設置も含まれていた。
社会学者たちは今回のデモの後、「反対派、親派のデモが続くようなことがあれば、連邦政府が統治不能な緊迫状態が続く」「2013年以来の政治的緊迫感」など、否定的な分析をしている。
今回の朝食会は、デモによって立法機関や司法機関との間に亀裂が入るのを恐れた連邦政府が混乱を防ぐために開催したと見られている。朝食会には三権の長の他、オニキス・ロレンゾーニ官房長官、パウロ・ゲデス経済相、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室長官も参加した。
オニキス官房長官は朝食会後、「三権の長が諸目標とそれを達成するための行動を取りまとめた文書に署名する」と発言した。トフォリ長官が経済回復などを念頭にまとめたとされる文書の内容は明かされていないが、朝食会で大筋の合意ができ、6月10日の週に署名の予定だという。ゲデス経済相は「今回のデモが三権間の亀裂を招き、社会保障制度改革に悪影響を及ぼすことはない」との見解を表明した。
三権の仲を取り持つ朝食会は、社会保障制度改革などを実現させるための方策の一つで、連邦政府の他の政策にとっても重要だ。セルジオ・モロ法相による犯罪防止法承認のためには議会の説得が必要だし、銃携行や、連邦組織内の委員会の廃止や指名権に関する大統領令などでは最高裁の判断が必要となるためだ。
また、上院で暫定令870号を審議する際、大統領の所属政党の社会自由党(PSL)などはCOAFを法務省にとの投票を行う意向だが、ボルソナロ大統領は朝食会の席上、下院が回してきたままの暫定令を承認するよう依頼する文書を上院議長に手渡したという。
タグ:写真ニュース セルジオ・モロ ボルソナロ ゲデス オニキス