28日、上院の本会議で、省庁の統廃合に関する暫定令(MP)870号が承認された。注目された金融活動管理審議会(COAF)を経済省に移す件については、下院から送られて来た文面通り、経済省の下に置く形で承認された。26日の親ボルソナロ派のデモ参加者が「セルジオ・モロ法相の下に戻すべきだ」と強く訴えていたが、同MPの早期承認を願ったボルソナロ氏が下院で承認された文面のままで承認するよう願い出たためだ。29日付現地紙が報じている。
上院では、26日のデモの後を受け、COAFを「法務省に戻そう」との声が高まり、この日に記名投票が行われる直前まで行っていた。
だが、同日朝、ボルソナロ大統領がモロ法相、パウロ・ゲデス経済相、オニキス・ロレンゾーニ官房長官との連名書簡を通し、「原案のままでMP870号を通してほしい」と要請した。
大統領がこのような行動を取ったのは、この日に上院でMPに変更を加えれば、下院に差し戻されて、再審議となるからだった。同MPは「省庁数を29から22に減らす」ことを中心にしたものだったが、MPは180日以内(MP870号の場合は6月3日まで)に承認されないと効力を失う。もしも28日の時点で下院での再審議が決まれば、承認期限に間に合わず、省庁の復元を迫られる危険性があった。
ダヴィ・アルコルンブレ上院議長はこの日の審議の席で大統領からの書簡を読み上げた。この書簡の中で、大統領は「省庁が再編できないとなると、ブラジルそのものに大打撃になるような後進性をもたらしてしまう」と訴えた。
COAFを法務省傘下に置くことに強くこだわっていたはずのモロ法相も、「COAF一つのせいで連邦政府の組織全体を崩すわけにはいかない」と、書簡に署名した理由を語っている。
大統領の意向を受け、当初はCOAFを法務省傘下に戻すよう、中心になって叫んでいた大統領の所属政党、社会自由党(PSL)のマジョール・オリンピオ上議も折れる形となった。
だが、上議の間では、今回のボルソナロ大統領の判断に疑問を呈す議員も少なくなかった。今回の本会議では、「MP870号の内容の大筋(修正修正動議が出なかった部分)」を、70対4の圧倒的多数で承認した。しかし、COAFを法務省傘下に戻す件に関する投票では、本会議に参加した78人の上議の内、29人が「COAFは法務省傘下に置くべき」に票を投じた。
上院にはCOAFを法務省に戻すよう求める20万筆の署名を添えた文書も届いており、上議の中からは、「26日にデモに参加した人は連邦政府の談合に怒るはずだ」(ランドルフ・ロドリゲス上議、REDE)「モロ氏は署名を後悔することになる」(オットー・アレンカール上議、社会民主党・PSD)など、不満を示す発言も相次いで出ていた。