三井物産株式会社の子会社で、ブラジル国内で旅客鉄道事業を推進する、ガラナアーバンモビリティ株式会社(Gumi)が、リオ市と周辺都市を走る鉄道会社、Supervia社を傘下に収めることが決定したと、29日付ブラジルニュースサイトが報じた。
Supervia社は リオ市を含め、リオ州内12の市8路線を走り、1日あたりの旅客数は70万人を誇る。
同社の株の72・8%は、建設大手のオデブレヒト社系のオデブレヒト・トランスポート社(OTP)が間接保有していた。そのうちの61・47%分を三井系のGumiに約8億レアルで売却、GumiのSupervia資本参加率は、以前から所有する分も合わせて88・67%とすることで基本合意が結ばれ、経済防衛行政審議会(Cade、日本の公正取引委員会にあたる)も3月6日に、それを認めていた。
3月付オ・グローボ電子版は、「Cadaの承認は出た。残る詳細は4月末までにも詰められる予定」と報じていたが、それより1カ月遅れての合意となった。
OTPの債権者である、イタウ銀行やブラデスコ銀行の売買オペレーション承認が必要で、さらに、公共輸送事業の経営委託権の問題でもあることから、リオ州政府の承認も必要だった。
「Gumiが最初にOTPへのSupervia買取オファーを出したのは18年11月」と、3月付オ・グローボ電子版は報じている。
三井系Gumiが、Superviaをほぼ傘下に収めることで、Superviaには、「設備投資の拡大」と「サービスの質の向上」、「財務状況の好転」が期待される。
現在、ピーク時や、長距離運行時の列車が超過密状態であることと、週末などの間引き運転が多過ぎることへの苦情が多く出ている。
株式譲渡を認めたCadeの意見書には、「この買収のせいで過度な独占が発生する懸念は少ない」とも記されていた。
29日にまとまったOTP絡みの商談には、サンパウロ州内陸部の高速道路運営会社ロッタ・ダス・バンデイラス社株85%を中東の投資会社に16億5千万レアルで売却する件も含まれている。OTPはこの高速道路運営会社と、Superviaとの二つの商談で、合計24億5千万レアルの売却益を得ることになる。