一行の一人、高良シゲオさん(67、二世、サンパウロ市)は10年前に映画『Adeus a Manzanar』(原題Farewell to Manzanar 1976)を見て深い感銘を受け、いつかマンザナーに行ってみたいと思っていたという。
実際にマンザナーを見たの感想を聞くと、「日系人であるがゆえに強制収容された子孫に、強い悲しみと共感を覚える。父の故郷の国と戦争で戦う時、二世兵士はどんな気持ちなのだろうかと思った。そんな辛い経験をした子孫のためにも平和な時代が続いてい欲しい」と率直なコメントをした。
またロスで北米沖縄県人会のメンバーと交流した際、「ブラジルの方が団結していると感じた。例えばビラ・カロンにはウチナーグチ教室まであるが、ロスにはない」と比較した。
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4月13日(土)朝、一行の畠山富士雄さん(75、二世)は「マンザナーを見て、ポーランドに観光に行った時に見たユダヤ人強制収容施設を思い出したよ。ブラジルでも戦争中はリベルダーデでも、サントスでも強制立退きがあった。こういう歴史は忘れてはいけないね」としみじみ語っていた。
カンピーナス市在住の参加者、渡辺定則さん(75、大分県)は「ロスの全米日系人博物館をもっとゆっくり見たかった。でもマンザナーで法要が出来て良かった。ただの観光旅行じゃなくて、日系人としての歴史を知ることに故郷巡りの醍醐味があるからね。本を読んだり、ドラマを見たりして知っていたけど、実際のその場所に立ってみるとインパクトが全く違うね」という。
妻の民栄ラウラさん(75、二世)も「法要をあげることで、自分たちも現地の歴史に参加している気分になる」とのべた。
県連前会長の本橋幹久さん(83、鳥取県)は、現職会長だった5年前からマンザナー行きを計画していたという。「ロスから一番近い強制収容所がマンザナー。この姿をブラジルの一世、二世も良く見ておいた方がいいと思っていた。満砂那という当て字を見て、辛い状況なのに『ここは美しい場所』だと前向きにとらえているところに日本人らしさを感じた」という。
本橋さんはブラジル鳥取県人会としてロスと交流をしたいと考えており、「7月21日にロスで予定されている南加鳥取クラブの創立百周年式典に来たいと思っている」との希望を語った。(つづく、深沢正雪記者)