ブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)は「第13回文化祭り」を25、26日にサンパウロ市の文協ビル全体を使って開催し、一般市民を中心に1万8599人が来場して新記録を更新した。地下の日本文化スペースの料理教室コーナーが念願の初稼働をし、7階が改装オープンされた移民史料館では2日間の来場者が2850人を記録するなど、一般市民が日本移民の歴史や文化に触れる絶好の機会となった。
当日は韓国人気アーチストBTSのコンサート、親ボルソナロ集会があったにも関わらず、文協ビル内は日本文化好きで溢れていた。大久保カルラ実行委員長に取材している最中も、「ボクも協力したい」と申し出る来場者の日系少年がおり、青年文協への入会を勧めていた。
今回のテーマは「レガシー(遺産):ブラジル、日本、そして私」。中心となるワークショップ(実演体験コーナー)には押し花、折り紙、漫画、風呂敷、剣道、忍術などが並び、一般市民が次から次へと参加していた。
メイドカフェ主催者の一人、カリーナ・カバウカンテさんは「メニューも自分たちで独自に作った。5年前からあちこちのPOPイベントでカフェをやっているが、いつか自分たちの店を持つのが夢」と目を輝かせた。
シェフコーナーでは「藍染」「ジョジョラーメン」などサンパウロ市有名日本食レストランが出店し、本格的な料理を提供し、午後早々に売れ切れるところもあった。
地下の料理教室コーナーが今回、初めて稼働を始めた。この二日間で細巻、コロッケ、カツサンド、スキヤキ、カレー、ハワイ風手巻き寿司などの7講座が開かれ、各40人が参加、計280人が日本食の料理法に親しんだ。担当したサクラ中矢社の広報・畑中ミリアンさんは「イベント時だけでなく、普段から料理教室を開催したい」と意気込んだ。教室を出ると、1時間後に開始する講座の列が早速できていた。
来場者の西国幸四郎さんは「大講堂で『優美』の日本舞踊を見てきたけど、若い人が生き生きと日本舞踊を踊っていて気持ちいいね」とほほ笑んだ。
大久保実行委員長は「来場者目標1万7千人を達成できてうれしい。日本文化に興味がある全ての人に家族で来てほしい。今年はYOSAKOIソーラン、料理教室などの新しい取り組みをし、200万人の登録者を持つ日系姉妹ユーチューバ―に来てもらって宣伝している。委員会メンバー15人が力を合わせ、50日系団体以上が協力してくれている」と感謝した。
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大久保カルラ実行委員長は2年前に文協青年部に入って文化祭りの手伝いをはじめたばかりで、昨年、今回の実行委員長を任された。その間、「昨年6月、サンパウロ新聞の招待で15人の若者をハワイでの海外日系人大会に参加し、日本を見せてもらった。素晴らしい体験でした。おかげで、もっと日本文化をブラジルに広めなくちゃと痛感して実行委員長を引き受けました」という。これはサ紙主催の「日伯懸け橋プロジェクト」(協賛:竹内運輸工業、ワールドリンクス)のことで、20~40歳の日系の若者15人が昨年6月に1週間ほど、ハワイでの海外日系人大会出席後に訪日し、横浜のJICA海外移住資料館、「ブラジル・タウン」群馬県大泉町視察、日光見学などをした件だ。サ紙の取組みは早速成果を生んでいるようだ。
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文協の文化祭りは2015年までは1日だけだったが、06年に初めて土日開催となり、サンパウロ市主催のビラーダ・クルツラルと重なったこともあって数年ぶりに1万人越えを記録した。17年には文協ビルと日本館で8日間開催して初の着物ショーを行うなどして1万1500人を動員、18年はブラジル日本青年会議所が協力して大人気Youtuberのデボラ・フッツさんの講演も行われ1万3400人が来場した。今年は1万8千人を越えて、いよいよ2万人の大台に近づいてきた。
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韓国の人気K―POPグループ「BTS」(防弾少年団)のコンサートがこの週末25、26日にサンパウロ市のアリアンツ・パルケ(パルメイラスのサッカー場)であった。各4万2千人ずつ、計8万4千人が韓国音楽に酔いしれた。グローボ・ニュースによれば、中には3カ月前からチケット購入の列を作ったブラジル人ファンも。世界ツアー中、南米ではこの2公演だけなので、わざわざコロンビアから来たファンもいたそう。韓国のソフトパワーはブラジルにもしっかりと浸透しつつある。ジャパン・ハウスができたからって、日本勢もウカウカしていられない?! 日本のアイドル・グループにも負けないように頑張ってほしいところ。