ホーム | 日系社会ニュース | ■ひとマチ点描■車いすフェンシング 藤田道宣選手「頭脳で戦う」

■ひとマチ点描■車いすフェンシング 藤田道宣選手「頭脳で戦う」

藤田道宣選手(藤田祐香さん提供)

藤田道宣選手(藤田祐香さん提供)

 車いすフェンシング世界選手権が21日から25日の5日間、サンパウロ市で行われ、藤田道宣選手も日本代表として個人戦、団体戦に出場した。
 藤田選手は頚椎の損傷により体幹に力が入らず、上体の俊敏な動きが難しい。握力も弱く、試合中はテープで手に剣を固定しているが、繊細な動きが制限される。車いすフェンシングは障がいの程度により2つのカテゴリーに分けられているが、それでも他の選手より不利な条件だ。しかし藤田選手は「限界を決めたらそこで終わってしまう」と邁進してきた。
 藤田選手の強みは、剣さばきよりも頭脳だという。「試合中は絶えず考えている。相手の仕草や反応から心理を読み、駆け引きをする」。これが車いすフェンシングの醍醐味だとか。
 2020年東京パラ五輪が決定し、競技者も増えたが、未だに専業の指導者はおらず、競技だけで生活するのが難しい選手も多いそう。「結果を出して競技に注目してもらい、盛り上げていくしかない」。藤田選手は穏やかに語ったが、その目には確かな闘志が見えた。(大)