連邦政府が、国内経済停滞時にも着実に外貨を獲得できる観光産業を後押ししている。観光産業は成長ペースは減速しているものの、依然としてプラス成長を保っている。
1月に発表された、国連世界観光機関(UNWTO)の報告書は、2019年に世界全体の観光産業は3~4%成長すると予測した。
ただし、2017年から18年にかけての世界の観光業は6%成長したのに、南米は3・2%、ブラジル単独では0・5%のみの成長に止まるなど、南米諸国は世界的な傾向に追いつくことができていない。
ブラジルは、豊かな自然に恵まれ、風光明媚な場所も沢山ある国で、さまざまなタイプの観光客を楽しませることができる。気候も、年間を通じた活動を促し、観光産業には有利だ。
観光地、競争力ランキングにおけるブラジルは、自然資源の面で1位にランクされているが、14項目の総合ランキングでは、136カ国中27位の評価だ。
ブラジルの弱点は、ビジネス環境、治安、交通機関などのインフラ施設、観光産業への優先度などで、観光産業に関する取り組みという面の評価では、ブラジルは最低レベルだ。
政府はこの結果を受け止め、観光促進計画に傾注し始めた。
今年5月にはブラジル政府により、2018年から2022年にかけての国家観光計画が発表された。同計画では、「管理と監査」「インフラ」「観光産業従事者の職能向上」「持続可能性」という4分野の取り組みについて述べている。
同計画によって規定された取り組みの内、既に実施されたものの中には、100%外資系の航空会社への国内線の運航開放などがある。
マルセロ・アルヴァロ・アントニオ観光相は、「外資系の会社への運航開放で企業間の競争が活性化すれば、航空運賃の値下げも生じると確信している。また、現政権は、自由主義経済を推進し、常にビジネス環境を改善し、官僚主義を減らすことも目的としている」と、ブラジル屈指の観光地でイグアスの滝があるフォス・ド・イグアス市で語った。
ブラジル議会は5月、一定の大きさの旅客機は、23キロまでの手荷物は無料で機内預けにすることを義務づけることも定めた。
これは一見、利用者にとって嬉しい措置だが、運賃そのものを安くする代わり、機内の食事や飲料、手荷物預けを有料にして運航する、ウルトラ・ローコスト・キャリアと呼ばれる会社の参入障壁となりかねないとの意見も出ており、大統領が拒否権を行使する可能性がある。(4日付アジェンシア・ブラジルより)