「世界環境デー」の5日を目前にした4日、ブラジル政府がノルウェーとドイツに「アマゾン基金」の規定変更に関する提案書を送付との記事が流れた。08年創設の同基金は、法定アマゾンの保護や保存が目的で、資金の大半は両国からの寄付だ▼同基金の使用目的は、アマゾンの自然破壊の予防と監視、不法伐採撲滅で、伐採後の森林の回復や再生可能な経済活動支援も対象になる。だが、政府が新たに提唱し始めたのは、環境保護区にある私有地買い上げ資金にアマゾン基金を使うという案だ。私有地買い上げは森林保護に繋がる活動の一つに見えるが、同基金に定めた用途からは外れている。だが、現環境相は、5月に行われた両国大使との会談でも大統領令による規定変更の意向を示しただけ。説明責任を十分に果たしておらず、今回の提案書送付となった▼現政府の環境政策が世界の流れに逆行している事は、産業活性化のためのアマゾン開発を推奨する大統領発言とその後の伐採急増、環境破壊を監視する団体への資金削減、これらの団体の職員半減などにも現れている。また、国際的な環境会議の開催や参加拒否(後に撤回したが)や、国際的な約束の下で創設された基金に関わる規定を一方的に変更しようとする姿勢は、アマゾンに関する政策変更が米州大陸で最多、環境全般に関する政策変更数も米国と肩を並べるといった数字にも表れている▼アマゾンの森林の大半はブラジル国内に広がっているが、アマゾンが果たす役割は地球規模だからこそ、世界中がブラジルの態度や政策に目を光らせている。ボルソナロ大統領は地球温暖化とアマゾン保護の意味を再認識すべきと、改めて感じさせられる。(み)