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ブラジル/アルゼンチン首脳会談=ボルソナロがマクリ再選を支持=共通通貨への提言再び=高インフレが障壁の一つ=大統領選は危ない状況?

6日、マクリ、ボルソナロ両大統領(Marcos Corrêa/PR)

6日、マクリ、ボルソナロ両大統領(Marcos Corrêa/PR)

 ボルソナロ大統領は6日にアルゼンチンを訪問し、ブエノス・アイレスでマクリ大統領との首脳会談、閣僚も交えた拡大会談、同国企業家たちとの会談を行った。企業家との会談では、両国共通の通貨を作る構想などについても話し合われた。また、ボルソナロ大統領は外交上の礼儀を無視して、今年後半に行われる大統領選でのマクリ氏再選を支持した。7日付現地紙が報じている。

 ブラジルとアルゼンチンとの共同通貨の話は、南米共同市場(メルコスル)ができて間もない1990年代初頭に、メルコスル共通通貨の観点で話し合われたことがある。だが、1999年にブラジルで起きたレアル危機以降、立ち消えになっていた。
 その話が再燃しているのは、アルゼンチン側が4月末から再提案しはじめたからだ。マクリ大統領は米国訪問した際にワシントンでその話を口にした。また、同国のニコラス・ドゥジョーネ経済相は4月にリオを訪れた際にパウロ・ゲデス経済相と会い、ブラジルも両国共通通貨のプロジェクトを公表するよう求めたが、ブラジル側が拒否していた。
 ここ数年、アルゼンチンは恒常的な高インフレに悩まされている。ブラジルのインフレが年間5%未満なのに対し、同国は55%を記録している。同国のインフレの高さは、両国共通通貨誕生の障壁の一つだ。ゲデス経済相は7日、「アルゼンチン側はこの構想にすっかり乗り気だが、ブラジル側は思案中で、推測の域を出ていない」との見方を表明した。
 首脳会談では、犯罪組織の撲滅や運輸、科学技術、起業問題、エネルギー問題などが話し合われた。両国国境(リオ・グランデ・ド・スル州)の水力発電所建設の可能性についても話し合われたという。
 また、ボルソナロ大統領は、この日行った演説と記者会見でマクリ大統領再選の希望を明らかにした。外交上、大統領は他国の選挙への希望を表明してはならないことになっているが、候補者の名前こそ伏せたものの、「アルゼンチン国民が、感情でなく、理性で選挙に臨めるよう、神に願った」と演説。記者会見でも「南米南部にもうひとつのベネズエラを作るわけにはいかない。キルチネリズモに戻れば、この地域に新たな経済危機が起こりうる」と語った。
 同国の大統領選は10月27日に行われるが、世論調査では、「キルチネリズモ」の張本人であるクリスチーナ・キルチネル前大統領が副候補としてついたアルベルト・フェルナンデス氏が、マクリ氏をややリードしているという。
 マクリ氏は同国の大企業の一族出身で、企業家として辣腕を振るった後に政界に転じ、大統領に選ばれた。国民は経済状況の好転を期待していたが、現在も高インフレが続き、不満が高まっている。5月29日には就任後5回目となるゼネストも起きており、苦境に立たされている。