ブラジル最高裁は6日、公社や半官半民企業は、連邦議会の承認なしに子会社を売却できると決めたと、6、7日付現地各紙・サイトが報じた。
ここでいう「売却」は、100%完全な売却と、過半数の株式の売却(支配権は失う)の双方を含む。
しかし、最高裁は、国が公社本体を売却する際には議会の承認が必要とした。
さらには、公社などが子会社を売却する際は公開入札を行う必要はないことも決めたが、憲法の定める公共機関の運営規範に則り、市場の原則を無視した売却オペレーションを行ってはならないとした。
経済省によると、国内には134の公社があるが、その内88社は子会社だという。石油公社ペトロブラス(PB)を例にとれば、同社は36の子会社を抱えている。
同社は昨年より、子会社売却も含めた資産整理を行おうとしていたが、常に法的整合性への不安が付きまとっていた。
PBは今年4月に、同社のガス関連製品を専門的に扱う子会社、TAGの株式の9割を86億ドルでエンジー・グループ(本社フランス)に売却することで合意を成立させていたが、最高裁はそれを差し止める予備判決を出していた。
しかし、6日の最高裁の決定により、TAGを含む資産売却計画を実行に移すことが出来る。PBは子会社整理による売却益を269億レアルと見積もっている。
最高裁での審理後、エジソン・ファキン最高裁判事は、TAG売却差し止めの予備判決を無効とした。
こうした状況を招いていたのは、リカルド・レヴァンドフスキ最高裁判事が昨年6月に出した、「公社や半民半官の企業と、それらの子会社ならびにそれらが支配権を有する会社を売却する際は、議会の承認を得なくてはならない」という予備判決だ。
6日は、その予備判決の内容の一部を変更し、連邦政府が公社や半官半民企業を売却する際にだけ、議会の承認が必要とし、公社などが子会社を売却する際は議会承認は不要と決められた。
PBのロベルト・カステロ・ブランコ総裁は、最高裁の決定に関し「ブラジルのため、偉大な勝利」と語った。同総裁はPB社広報を通じて、「幸せな一日」とのコメントも発表した。ボルソナロ大統領に任命されたブランコ氏は、今後も資産整理を加速させ、PBの財政健全化を図る意向だ。
パウロ・ゲデス経済相も、公社の子会社売却のハードルを下げる動きに賛成で、最高裁の審理の最中にもインターネットを使って動画を配信。ブラジルの法規を批判すると共に、子会社売却を促す発言を行った。