【既報関連】9日付のサイト「ジ・インターセプト」と「ジ・インターセプト・ブラジル」による暴露報道を受け、セルジオ・モロ法相とラヴァ・ジャット(LJ)作戦を指揮する連邦検察庁のデウタン・ダラグノル捜査員は、自分たちはハッキングの犠牲者であると主張し、違憲とされる「判事と検察の協力」を否定した。だが、この報道後の反応は厳しく、ブラジル弁護士会(OAB)が両氏の解任を求めるなどの動きも出た。11日付現地紙が報じている。
モロ法相は10日、マナウスで行われたイベントで暴露報道について尋ねられ、「判事が捜査員や政治家と話すなど、普通のことではないか」と語り、「私の一存で検察を動かしていたなどということはない」と報道を否定した。
インターセプトでは、当時LJの担当判事だったモロ氏が、「LJの作戦を行う順番を変えさせた」ことや、「最近作戦を実施していないじゃないか」などと、ヒエラルキーを無視して連邦検察を煽る言動があったことなどを指摘していた。
一方、ダラグノル捜査員も同日、ビデオ・メッセージという形で9日の報道の件に触れ、「重大なる攻撃だ」「こういう犯罪行為が事実を歪曲してしまうことを恐れている」と語った。
また、同捜査員は「ルーラ氏の裁判を政治的に偏った判断で行ったと言われたが、有罪と判断するための確固たる証拠はある」と語った。
ダラグノル氏はインターセプトから、ルーラ氏のサンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した収賄容疑などに関し、「確たる証拠がなく、ペトロブラスとの関連性も見えないのでは裁判としては弱いと思う」と書き記していたと報じられた。
だが、司法界、議会の今回の報道に関する反応は厳しかった。OABでは10日にこの件が審議され、満場一致で、モロ氏とデウタン氏の職務解任を勧める結論に達したと発表された。
また、最高裁でも11日、第2小法廷が、4月に中断した、ルーラ元大統領への人身保護令適用の訴えを受け付けるか否かの審議を今月25日に行うことを決めた。ルーラ氏の弁護人は10日、モロ法相が連邦地裁判事時代に出した判決を無効化することも要請した。
連邦議会では、LJ作戦に対する議会調査委員会(CPI)開設を求める声が上がりはじめた。野党側は「モロ法相の件が片付くまで一切の審議は止める」とも言いはじめている。パウロ・ゲデス経済相も「社会保障制度改革の審議を止めるための暴露だ」とし、審議の遅れを覚悟する発言を行った。
連邦政府では、モウロン副大統領がモロ氏をかばう発言を行ったが、ボルソナロ大統領は10日は終始無言で通した。これは、この件に大統領が巻き込まれないようにするための連邦政府の戦略だという。
なお、ボルソナロ大統領は11日朝、モロ法相と会い、海軍のイベントにも参加したが、同件に関しては、その後も何も語っていない。