蛯原さんは「6年前は780人、現在は900人が剣士として登録されている。7割が日系人、200人は女性です」との内訳を説明する。
「全体の7割は今でもサンパウロ州ですが、最近一番勢いがあるのはマット・グロッソ州都クイアバ。ブラジル人教師が生徒5、6人から道場を始めて、今は60人もいます。一人も日系人はいません。あとノルデスチ、ノルチも頑張っている」とのこと。
剣士の年代は、「40代がけっこう多い。ブラジルではサムライのイメージからか、弁護士とか医者、エンジニアとかインテリ階級のスポーツだと思われている。彼らが子どもを連れてくるので、10代も多いが、大学受験を前に辞めていく人が大半。でも40代を過ぎて、管理職になるとまた剣道にもどってきたりします」という傾向があると言う。
剣道をやるメリットを尋ねると、「まず姿勢が良くなる。あと集中力が増す。動体視力が必要なので、反応が早くなる。その結果、脳の働きが活性化すると言われています」と説明した。
世界におけるブラジルの強さを聞くと、「トップは日本と韓国、その次のグループにブラジル、アメリカ、カナダ、台湾などがある。だいたい世界ベスト8位に入ります」とのこと。
文化祭りの来場者の半分以上はブラジル人であり、剣道のデモンストレーションに興味を持って参加する人も。ミニスカート姿で竹刀を握って、果敢に切り込んでいた若いブラジル人女性がいたので、話を聞いてみた。
イザベリ・アンジョスさん(19、グアルーリョス市在住)は「私は普段ムエタイ(タイ式ボクシング)をやっているの。もともと武道に興味があったので、参加してみた。初めてやってみたけど、剣道って面白い。だいたい普通、棒で相手を叩くっていう経験をしたことがない。ムエタイとも距離感が違う。前から興味があったので、ちょうど良かった」と気持ちよさそうに汗をぬぐった。