インフラ工事や油田開発などでも知られるブラジル有数の大手企業オデブレヒト・グループが17日に民事再生を申請、司法当局もそれを受け入れたと18日付現地紙、サイトが報じた。
1944年創業で、国内は無論、1979年のペルーやチリでの事業請負で国際社会に進出。創業50年の94年には21カ国で事業を行い、従業員3万4千人の企業に成長。最盛期の2013年は従業員19万3千人を抱え、ブラジル隆盛のシンボルの一つとされた。
だが、14年3月開始のラヴァ・ジャット作戦(LJ)により、選挙時の裏金を含む汚職が次々に摘発され、15年には3代目社長(当時)のマルセロ・オデブレヒト氏の逮捕、断罪となった。
以来、事業契約見直しや罰金徴収など、様々な形で影響を受け、現在の従業員は4万8千人だ。世界をまたに駆けた「帝国」のイメージは過去のものになっている。
今回の民事再生申請は、グループ内での貸し借りも含めた負債が985億レアルに上り、経営破綻に陥った現状を回復させるためだ。諸銀行への負債は510億レで、内145億レは石油化学会社でペトロブラスが共同経営者のブラスケンの株式が担保だという。再生申請で交渉の対象となる負債額は836億レだが、この額にはLJでの司法取引で命じられた罰金は含まれていない。
オデブレヒト側は申請回避を希望し、債権者の銀行の多くもその方向での合意直前だったが、連邦貯蓄銀行(CAIXA)がアレーナ・コリンチャンス建設絡みの負債取立を強行しようとし、民事再生申請となった。
オデブレヒト・グループは、労働者党(PT)政権時代に政府の支援も受けて国内外の事業を請け負ったが、事業の拡大と共に負債も拡大した。15年を例にとると、1320億レの収益を上げる一方、負債額も1100億レに膨れ上がった。08年の負債額は180億レだったから、経営状態の悪化は明らかだ。
それに輪をかけたのはLJによる不正摘発で、事業契約見直しなどで経営がさらに悪化。債権者との交渉で26億レの負債返済延期や別の融資への切り替えなどを行ったが、18年には110億レを返済できない事態も起き、債権者達の信用を失い始めた。
今年5月には、砂糖・アルコール製造会社のAtvosが民事再生を申請。石油・ガス関連のOcyanは司法外手続きで50億レの負債返済に関する合意を成立させたが、6月にオランダの会社がブラスケン買収を諦めた事も、経営建て直しへの道を狭めた。
民事再生の申請は受け入れられ、60日以内の再建案提出などが義務付けられた。エンジェニャリア・エ・コンストルソンやオデブレヒト・トランスポルテ、不動産関連のOR、船舶建造のエンセアダ、ブラスケンら、運転資金を生み出す可能性のある10社は再生申請対象外となっている。
なお、オデブレヒトの抱える負債額は、Oi社の650億レを上回り、ブラジル最大となっている。