上院本会議で18日、5月に出た、銃の入手や携行に関する規制緩和に関する大統領令が否決されたと18、19日付現地紙、サイトが報じた。
銃規制緩和に関する大統領は1月と5月に出ており、今回は5月に出た大統領令が、47対28で否決された。
5月7日に出され、22日に一部改定された大統領令は、スポーツ射撃の選手や猟師、収集家の他、任期中の議員や弁護士、判事、トラック運転手、警察関係の報道を担当するメディア関係者など、20の分野の人に銃の携行を認めている。
また、農業生産者が猟も行っている事を証明した場合にのみ、銃身が1~2本の銃の携行許可が出ていたものが、森林や農地の開発、牧畜、農産物加工業などに携わっている場合にまで拡大された。
銃弾の購入数も、年50発が、通常の銃については年5千発、使用が制限されている銃でも1千発に拡大された。
また、銃所有登録と銃の携行登録は、銃単位ではなく、所有者単位で行い、従来の倍の10年間有効とされた。10年以上在籍している軍兵士や警察官も自動的に携行を認める事になっていた。
さらに、18歳以下の未成年者がスポーツ射撃を行う場合も、裁判所の許可は不要となり、責任者の1人(通常片親)の許可だけでよい事になった(この項目については最低年齢を14歳とする事が加筆された)。
ボルソナロ大統領はこれらの大統領令は国民の要望を受けたものだと主張し、上院憲政委員会が12日に15対9で否決した後も、あらゆる手段で上院議員に承認を促し続けた。だが、大統領令に反対する議員への暴行や脅迫といった出来事さえあった後も、上院内の機関が出した違憲とすべき項目を含んでいるとの判断を踏まえ、大統領令を否決した。
同大統領令は今後、下院での審議に回され、そこでも否決されれば効力を失う。現時点では下院でも同令否決の機運が高いと見られ、ボルソナロ大統領は、連邦議員が提出済みの法案承認か、議会の決議に疑問ありとして最高裁に訴えるといった代替案を検討中だ。
今回の上院での大統領令否決は、現政権最大の敗北だ。この事実は、議会が立法府としての役割を持っている事をもう一度、政府側に示した。
また、選挙ではボルソナロ氏を支援した議員達の多くが、国民の命という命題の前では政府に反旗を翻した事も明らかになった。年6万5千人が殺されている事や、より多くの銃がより簡便化された管理体制の下に置かれる事の怖さを、議員達は忘れていない。
26日には最高裁が銃規制に関する大統領令の違憲性を問う審理を行うが、その直前に大統領令を否決した事は、議会も法的な視点で行政府の行動の可否を判断する力を持っている事を明示したといえる。