最初の移民船「笠戸丸」がサントスに着港してから111年――6月18日の「移民の日」、今年も午前中にサンゴンサロ教会で追悼ミサとイビラプエラ公園の「開拓先没者追悼慰霊法要」、午後からは文協大講堂で同法要がしめやかに行われた。文協大講堂では1千人が参列した昨年とは異なり、150人余りの寂しい追悼行事となった。
ブラジル仏教連合会(梶原俊英会長)とブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)が主催する文協大講堂での開拓先亡者追悼大法要は、09年以降、参列者が300人前後に落ち込み閑散としていた。そこで昨年は日本移民110周年を機に菊地義治実行委員長が梃入れして活性化を図り1千人が参列、一階席が異例の満席になった。しかし今年は150人余りで以前より少ないぐらいだった。
午後2時に開始された今回の文協法要は、釈尊讃合会の吉瀬教通(きせ・のりみち)会長が開会し、同連合会コーラス部による「道の光」が始まりを告げ、献茶、献花、献楽に続き、稚児、諸僧、導師らが厳かに入堂した。
仏連会長の梶原俊栄氏による焼香に続き、石川レナト文協会長は「私は80歳、移民111年の大半を人生と共に過ごしてきた。我々子孫に教育という遺産を置いていってくれた先人に心から感謝。令和の時代に、さらなるブラジルへの貢献を誓う」と先駆者に思いを馳せた。
その後、野口泰在聖総領事も「世界最大の日系社会を残してくれた先人の遺徳に感謝する」と述べ、JICAブラジル所長の佐藤洋史氏、サンパウロ日伯援護協会の与儀昭雄会長、県連の山田康夫会長らが次々に焼香し、来賓と一般参列者が続いた。
最後に浄土宗南米開教区の佐々木良法師がポ語で法話。「この世は全て因果応報。先祖のやってくれたことの結果として、我々の今がある。同じ様に今の先に未来がある。先人がやってくれたことを、今子供たちに施しましょう。自分が今の状況に満足しているのなら、それを子どもに与える責任が我々にはある」と語りかけた。
本紙の取材に、梶原仏連会長は「平日だと若い人が参加できない。来年からは、彼らに合わせて週末開催も検討した方が良いかも知れない」との意見を述べた。