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「言葉の力」を大切に

 知人との会話の中で、「言葉の力」という言葉が出てきた。「愛」「感謝」といった言葉を書いた紙の上に水の入った入れ物を置いておくと、水の分子が雪の結晶のようなきれいな形になり、水質もよくなるが、「憎しみ」「怒り」といった言葉を書いた紙の上だと、分子はきれいな形にはならないという内容のビデオを見たというのだ▼ビデオの件は確認出来ていないが、子供を叱る時や誰かをけなす時も、日本語とポルトガル語では表現のきつさが違い、子供の人格に与える衝撃や影響の大きさが違うという話も出た。その話を聞きつつ、「治る、治る、きっと治る」と言いながら頑固な喘息を克服した日本の企業家の話や、「この愛機で飛び回り、思う存分仕事が出来るなら、愛機と共に事故で果てても構わない」と言っていた男性が、本当に事故死した話などを思い出した▼知人の塾経営者は生徒の前では極力、否定的な表現を避ける事や、相手が子供でも、(親近感を失わない程度に)大人同様の敬意を示し、正しい言葉遣いをする事をスタッフに求める。これも、言葉の持つ力や言葉に表れる相手への敬意を考えている例だ。ある意味で、凶悪犯罪発生率が極度に低かったスラムでの調査で、あたかも母親の如く生徒を扱った教師の存在が認められた話と一脈通じるかも知れない▼日本人なら「言霊」という言葉や、「言霊の幸ふ国」(言葉の霊力が幸福をもたらす国の意、日本の事を示す)という表現を耳にした事もあるだろう。何かを頼む時にも、「あなたがいい」と言われた人と、「あなたでいい」と言われた人とではモチベーションが違う。言葉の力を再認識し、人を癒し、励ます言葉を使いたいと思う。(み)