ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が11日、第1四半期の労働生産性は昨年同期比で1・1%低下したと発表。19日には地理統計院(IBGE)が、25歳以上の人の半数以上は高校も終えていない事などを発表した。
11、17日付現地紙サイトによると、時間あたりの生産額で見た労働生産性は、全国家庭サンプル調査(PNAD)を基に試算された。経済活動の停滞や低下、非正規雇用増加などが生産性低下の原因だという。
第1四半期は農牧業だけが昨年同期比0・4%の生産性向上を記録。工業とサービス業の生産性は1・2%低下した。
工業の生産性低下は、ミナス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故やそれを受けて各地で鉱業界の活動が停止した事、アルゼンチンが不況で同国への輸出が縮小した事などが影響している。工業の生産性は12四半期連続で向上していたが、上昇傾向が止まった。
工業以上に影響が大きいのは、労働時間全体の70%を占めるサービス業で、20四半期連続で生産性が低下中だ。
サービス業の不振は、昨年第2四半期以降の1年間の同業界の生産性が前年同期比で0・8%低下し、全体を0・3%押し下げた事からも明らかだ。同期間中の農牧業は1・5%、工業は0・6%向上した。
労働生産性の低下は、正規雇用者の減少と非正規雇用者の増加(正規雇用者の生産性は非正規雇用者の約4倍)や、正規雇用ではあるが、よりシンプルで生産性が低い業種に転職する人が増えた事を示す。土木技師が失業し、生活費を稼ぐためにUber運転手になった例は、生産性が低く、しかも非正規の雇用口への転職例だ。
生産性向上には、社会保障制度や税制改革、労働法改正、融資枠拡大などの諸策と労働者の教育が必要だ。ところが、現政権は諸改革の目処が立たず、先行きが不透明で、設備投資などを呼び込む事が難しいという。
また、19日付伯字紙サイトによると、25歳以上の人の52・6%は高校を卒業していない。33・1%は中学までで中退、6・9%は学歴ゼロ、中卒者8・1%。高校中退も4・5%いた。
16日付現地紙サイトによれば、第1四半期の調査では、14歳以上の労働人口の35%は中学を終えていない。比率が高いのは北部の44・1%と北東部の38・7%で、南部34%、中西部33・5%、南東部29・2%と続く。
14歳以上で高卒以上の人は48%だが、就業者の場合は高卒以上が60%、大卒以上も20・7%おり、中卒以下は25%だけだった。
生産性の低い職場の場合、文書や看板を読み、仕事の手順を理解するための識字教育が必要な例もある。19日付現地紙サイトによると、18年の15歳以上の人の非識字率は7・2%で、6・8%だった16年より若干改善したが、非識字者は1130万人もいた。