下院の議会調査委員会(CPI)が、社会経済開発銀行(BNDES)が労働者党(PT)政権時代に行った国外融資に問題があった事を示す情報を入手したと23日付現地紙が報じた。
同CPIが調査しているのは、PT政権時代にベネズエラやキューバ、モザンビークなどに対して行った巨額融資での不正疑惑だ。この件については、ボルソナロ大統領もジョアキン・レヴィ前総裁に詳細な調査と報告を求めており、報告書が出て来ない事に対する圧力も、前総裁辞任の要因の一つとされていた。
BNDES絡みのCPIは、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)で同行の融資を受けて国外の事業を請け負った企業の不正関与が表面化して開設。現在活動中のものは4年間で3度目のCPIだ。過去のCPIでは具体的な問題点は指摘されておらず、BNDESも、巨額融資の焦げ付きに関する責任を否定してきた。
だが、今回のCPIでは、PT政権と繋がりが深い左派政権諸国への融資には、BNDESなどの5部門に核があり、債務不履行になる危険性は度外視した融資が行われていた事を示す情報を入手したという。
CPIによると、五つの核の内、最も重要なのは大統領府と直結する政策的な核だ。PT政権関係者は、貿易協議所(Camex)や輸出金融保証委員会(Cofig)といった、輸出関連企業への融資で債務不履行が生じる危険性や、債務不履行時の保証などについて審査する機関に圧力をかけ、ほぼ無条件で融資を認める条件を作り出していたという。
これらの機関が危険性を指摘しなければ、対象企業や相手国が債務不履行に陥っても国庫が債務を肩代わりする仕組みがあり、実務的な核のBNDESには融資を拒否する理由がなくなる。公聴会や諮問会などもない。
公的機関が出した融資を認めるとの書類を手にした企業(経済的な核)は、政権内の支援も得て融資を獲得。相手国(国外の核)から事業を請け負うと、継続支援を得る目的も込めた賄賂を相手国とブラジルの関係者に贈って、事業を進めていた。
CPIでは、14カ国で行われた高速道路や水力発電所、港その他のインフラ事業140件について、融資承認までの経緯や実際の経費と申請時の見積額との差なども調べる意向だ。また、どの段階でどんな形で不正が行われたのかを調べるため、融資申請から承認までに携わった人物の情報なども集めるという。
連邦会計検査院によると、キューバのマリエル港やベネズエラのアスチアウバ造船所などは融資申請時の額よりも少額で事業を終えている。LJで告発され、司法取引に応じた企業の多くは債務不履行に陥っているが、今後の融資確保のためか、司法取引ではBNDESをかばうような態度を見せているという。
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