最高裁第2小法廷が25日、ルーラ元大統領弁護団が出していた人身保護令適用に関する案件2件を審理し、当面は保護令適用を拒否する判決を下したと26日付現地紙が報じた。
ルーラ氏への人身保護令適用に関する審理は昨年12月に始まったが、見直し請求により中断していた。見直しを求めたジウマル・メンデス判事が再開を認めたため、25日に審理を行う予定だったが、24日に同判事が延期を求め、25日の再開は見送られた。
だが、25日朝、クリスチアノ・ザニン・マルチンス弁護士が、ルーラ氏は既に444日間も服役しており、休廷前に審理を行うよう改めて求めたため、急遽、審理の課題に盛り込まれた。
同日の審理の一つは、第2審の判決を不服として上告した際、フェリックス・フィッシャー高等裁判事が単独で上告を棄却した事に対する不服申し立てで、こちらは4対1で、フィッシャー判事が下した判決は正当と判断された。この時点で、同件での人身保護令適用は棄却された(高等裁はその後、第3審を行い、ルーラ氏の刑期を8年10カ月に縮めた)。
もう一つは、第1審を担当した連邦地裁判事のセルジオ・モロ氏が、大統領選当選直後のボルソナロ大統領に乞われて法相就任を受諾した事が、第1審の判断に影響しており、1審の判決そのものが無効だから、ルーラ氏は釈放されるべきとの訴えだ。この件に関する審理は、エジソン・ファキン、カルメン・ルシア両判事が12月に人身保護令適用に反対票を投じた後に中断していた。
12月に見直しを要請したジウマル・メンデス判事は、25日も、モロ氏に関しては、9日から始まったジ・インターセプト・ブラジルによるモロ氏とラヴァ・ジャット作戦(LJ)特捜班のデウタン・ダラグノル捜査官との間の通信などの情報漏洩問題も含め、更なる分析が必要とし、人身保護令適用の審理は待つべきだと主張。代わりに、モロ氏と1審判決の正当性についての審理が終るまで、ルーラ氏を釈放する事を提案した。
この提案には、リカルド・レワンドゥスキ判事が賛同したが、ファキン判事とセルソ・デ・メロ判事、ルシア判事の3人が反対したため、2対3で人身保護令適用はならなかった。
今回はルーラ氏が人身保護令適用を受けるのに最も有利な状況とされていたが、これにより、4度目の人身保護令適用要請却下となった。今回の審理でも人身保護令適用が叶わなかったと知ったルーラ氏の支援者達は、クリチバの連邦警察前などで抗議行動も行った。
なお、最高裁第2小法廷は25日の審理をもって、最高裁そのものも26日の審理後に休みに入るため、モロ氏の件も含めた審理の再開は8月以降となる。