26~27日にブラジル国内のみならず、世界を震撼とさせたブラジル空軍機からのコカイン発見に続き、27日に、ボルソナロ大統領の社会自由党(PSL)のミナス・ジェライス州支部関係者3人が、18年の統一選挙時に幽霊候補者(ラランジャ)を使って政党援助金を不正に得る計画を実行した容疑で逮捕された。当時の支部長はルセロ・アルヴァロ・アントニオ現観光相で、容疑者たちとの関係も深い。28日付現地紙が報じている。
逮捕者の1人のマテウス・ヴォン・ロンドン・マルチンス容疑者は、アントニオ観光相の右腕的存在で、現在、観光省の特別補佐官の職にある。
また、同じく逮捕されたロベルト・シウヴァ・ソアレス容疑者も、アントニオ氏が下議だった2015~18年の秘書室のスタッフで、再選をかけた18年の下議選(当選後に観光相に指名されて就任)のコーディネーターも務めた。アイサンデル・ソウザ・デ・パウラ容疑者も、17~18年に秘書室で勤務した。
今回の容疑は、ソアレス氏が選挙コーディネーターを務めたヴァーレ・ド・アッソ地区中心に、選挙活動もろくに行わずに名前だけ貸すラランジャを候補者として登録し、その候補宛に支給された政党支援金を、PSLの同州支部が巻き上げていた疑惑に関するものだ。
この件は2月から既に話題となっており、ボルソナロ大統領は「しっかりとした捜査を望む」といいつつ、同観光相をかばってきた。今回の逮捕を受けても、オニキス・ロレンゾーニ官房長官は「連邦政府とは無関係」と主張している。
だが、連邦政府内には「早くアントニオ氏を解任すべきだった」との声も強まっており、観光相の去就に注目が集まっている。
一方、空軍機のパイロットがコカインを運んでいた件に関する余波は27日も続き、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室長官が「ついてなかった」と発言したことや、麻薬所持で逮捕されたラファエル・シウヴァ・ロドリゲス軍曹がボルソナロ氏の熱心な支持者であったことなどが判明。G20サミットで日本滞在中のボルソナロ氏への風当たりも強くなっている。
また、27日に発表されたブラジル世論調査・統計機関(イボッピ)のボルソナロ政権に関する世論調査では、就任半年の時点で、同政権を「良い・最良」とする人が32%に減り、「悪い・最悪」が32%に増えた。さらに「普通」も32%で、世論が3分された。