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日本語センター=教育レベル向上策を議論=(下)=専門家派遣の要望が続出

意見交換会の様子

意見交換会の様子

 日本の国会で『日本語教育推進法』が成立することを見越して、ブラジル日本語センターの日下野良武理事長(75、熊本県)の呼びかけで20日に開催された意見交換会では、さまざまな要望が出された。
 日本語塾構え学園の宮崎高子園長は、「作品コンクールの絵画の審査員に、児童画を勉強した先生を派遣してほしい」と要望した。同コンクールには硬筆、毛筆、書道、絵画の4部門があり、中でも絵画は、「日本語学習が苦手な生徒にも好まれる傾向にあり、コンクールで賞を取ると、日本語学習を継続する大きなモチベーションになる」と語る。
 しかし、宮崎園長は「最近は児童画を学んでいない先生たちが審査員となって、大人のような絵が賞を取り、子供らしい絵が評価されなくなっている」という。
 同じく聖南西教育研究会を代表して参加した女性も「絵画のコンクールで審査員が素人なため、子供が描いた絵だと信じられずに落とされたことがあり問題になったことがある」と発言した。
 教材に対する悩みも多い。聖南西の女性は「国際交流基金の『まるごと』は良い教材だが大人用。子供用の教材がほしい」と訴える。また、マイリボラン同志会の横溝みえ先生は、「教材が作れる人を育成できるように専門家を派遣してほしい」と要望する。
 専門家については、その他にも児童心理学の専門家なども必要だと声が挙がった。また当日参加できずに事前にメールで意見を送った人は、「JICAとは別に安定した教師派遣機関がほしい。今の日本の言葉を学ぶためには、日本人の先生が欠かせない」と意見を述べた。
 丹羽義和さんは、人材の継続的な確保のために「日本語教育研究センターを作れば、ブラジル政府から補助金を得られる可能性もあるのでは」との意見を述べた。
 同センターの日下野理事長は「全てを反映させることは難しいが、可能な限り要望書に盛り込んでいきたい」との意気込みを語った。(終わり)


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 日本語教師らの意見交換会では、パンアメリカ日系人協会の石田光正さんが、クルゼイロ・ド・スル大学と提携して行っている「日本語教師養成講座」を紹介する場面もあった。これは通信教育で、同講座を4年間学ぶと日本語教師の教員免許が取得できる。現在、登録者は148人で、ほぼ非日系人。教材の開発には、サンパウロ総合大学(USP)のモラレス松原礼子教授も関わっているという。これからは二世以降や非日系人が日本語教師の中心になっていくので、この試みは有効だ。まだ資格取得者はいないそうだが、今後に期待したいところ。