サッカーのコパ・アメリカは2日に準決勝を迎えるが、「この大会で最も飛躍した選手」として、ネイマール不在の穴を埋める活躍を見せているブラジル代表のエーヴェルトン(グレミオ、23)の名前を挙げるメディアが目立っている。
エーヴェルトンは18年のW杯終了後、チッチ新体制のセレソンでは必ず召集されているが、これまでは主に控え選手として、地味に活躍していた。だが、そんな彼が、今大会では、怪我で出場できなくなったネイマールの穴を埋め、脚光を浴びている。
エーヴェルトンは第1戦となったボリビア戦では控えで、後半からの出場だったが、この試合で彼は、ネイマールと同じ左ウイングから、ドリブルの名手ネイマールばりの速いドリブルで縦横無尽に走り、真横にドリブルで走りこんでの豪快なミドル・シュートで1点を記録した。
続くベネズエラ戦でもエーヴェルトンは後半から出場し、スピードに欠けていた試合を活性化。この試合を見た観客や国民から「先発で使え」の声が上がり、続くペルー戦で遂に先発出場。この試合での彼は、得意のドリブルで真横に切り込んでからのミドル・シュートを放った。このシュートはディフェンダー間を抜き、ゴール左隅のギリギリを狙った、かなり難易度の高いもので、これが決まった時、会場は大いに沸いた。
こうした活躍で、セレソンのファンからは「もう、ネイマールがいなくても大丈夫」の声も上がり始めている。これは、14年のW杯以降、たえず「ネイマール依存症」と言われ続けていたセレソンとしては大きな変化だ。これまでも、「ポスト・ネイマール」は待望され続け、今大会でもリシャルリソン(エヴァートン)やダヴィド・ネレス(アヤックス)にその期待が託されていたが、エーヴェルトンがお株を奪うこととなった。
この活躍に沸いているのはイングランドのサッカー界だ。なぜなら、現在、エーヴェルトン獲得をめぐって、同国の名門マンチェスター・ユナイテッドとマンチェスター・シティが争奪戦を行っているからだ。
同国のメディアはエーヴェルトンを「リトル・オニオン」と呼んで紹介している。それは彼のブラジルでのあだ名が「セボリーニャ」であるためだ。セボリーニャというのはブラジルの国民的マンガ「トゥルマ・ダ・モニカ」のキャラクターの名前で、エーヴェルトンの両側頭部をそり挙げた独特の髪型にちなんで、このあだ名がついた。
また、コパ・アメリカの期間中、セレソンの試合の実況でおなじみのアナウンサー、ガルヴォン・ブエノがことのほかエーヴェルトンに熱をあげて実況していることから「遂にガルヴォンもネイマールから浮気したか」のジョークも国内のサッカー・メディアからあがっている。
セレソンは2日の準決勝でアルゼンチンと戦うが、同国も今大会ではニュー・スターが生まれている。それがラウタロ・マルチネス(インテル・ミラン、21)だ。同国は10年近く、メッシ、アグエロ、ディマリアといった選手たちで攻撃陣を形成していたが、この新たなエース・ストライカーがそこに割って入る勢いで注目を集めている。ブラジル国内のサッカー・メディアも、「エーヴェルトン対ラウタロの対決に注目」と銘打った記事を掲載したりしている。(6月24日付グローボエスポルテなどより)
タグ:W杯 サッカー ネイマール アルゼンチン 写真ニュース グローボ チッチ