ローマ法王が1日、10月13日に5人の福者の列聖式を行うと発表した。女性聖職者ではブラジル初の聖人となるイルマン・ドゥルセこと、マリア・リタ・デ・ソウザ・ブリット・ロペス・ポンテスもその中の1人だと1日付ブラジル国内紙サイトが報じた。
イルマン・ドゥルセという呼称は、修道女を意味するイルマンと洗礼名を組んだもの。神と人に仕え、多くの人々に愛された聖者は、1914年にバイア州サルバドール市で生まれ、1992年に同市で没した。
死後27年での聖人化は、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の9年、マザー・テレサの19年に次ぐ、世界歴代3位という異例の早さだ。
福者や聖人に認定されるには、教皇庁列聖省が綿密な調査を行い、英雄的、福音的な生き方をしたと公認した人(尊者)が殉教するか、様々な困難の中でイエス・キリストに対する信仰を宣言し続けた証聖者が奇跡を起こした事が証明される必要がある。
イルマン・ドゥルセはその一生をサルバドールの教会での貧者救済に捧げた事で知られる証聖者で、生前から「バイアのよき天使」などと呼ばれていた。彼女の名を冠した非営利福祉団体「オブラス・ソシアイス・イルマン・ドゥウセ」は5月26日に設立60周年を迎えた。
福者認定は2011年で、その後は「貧者の福者ドゥルセ」と呼ばれていた。今後の呼称は「貧者の聖人ドゥルセ」となり、8月13日が彼女の日となる。
聖人に認定された時、列聖省が認めた奇跡は、2014年に結膜炎を起こし、眼内出血も起きた男性(現在50歳)が痛みと共に失明したが、奇跡的に視力を回復したというものだ。
1日に列聖式の日程が発表されたのを受け、サルバドール司教区と同氏の名を冠した福祉団体が共同で行った記者会見には、奇跡を体験した男性も出席。14年に失明した後も激痛に苦しんでいたが、痛みを感じずに眠れるようにと思って彼女の像を手に取り、目に当てて「この痛みを取り除いて下さい」と祈って休んだところ、翌朝、眼帯を外そうとしたら自分の手が見えたと証言した。また、その後も、「彼女のおかげで今も生きている」「ただ、感謝の一言」と言葉をつないだ。