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《ブラジル》社会保障改革=特別委で意見書を朗読=地方自治体は含まれず=歳出削減効果1兆レ守る=委員会採決遅れる可能性も

意見書を読み上げたサムエル・モレイラ報告官(右)(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 社会保障制度改革問題を審議する下院の特別委員会で2日、報告官のサムエル・モレイラ下議(民主社会党・PSDB)による意見書の提出と朗読が行われた。2、3日付現地各紙・サイトが報じている。

 モレイラ報告官が提出した意見書は前回提出したものに修正を施したものだが、今回も、「社会保障改革には州や市などの地方公務員は含まない」と記されていた。
 政府は「地方自治体の説得で手続きが数日遅れても、地方自治体も含められれば、今後10年間の地方財政が救われる」との立場だったが、それはかなわなかった。ただし、モレイラ下議が「諦めたわけではない」と語るように、下院本会議での採決時に、社会保障改革に地方自治体を含める道は残されている。
 また、今回の報告書には「今後10年間の政府の歳出削減規模は1兆710億レアル」と記されている。これは、2月に政府が提出した案の1兆2360億レには達していないものの、直前の9135億レを上回った。
 「歳出削減額1兆レアル」は、パウロ・ゲデス経済相が特に拘っているところだ。モレイラ下議の意見書で、それを回復したのは、歳出削減項目や規模を増やしたからではない。
 もともとは歳出削減効果に計算されていなかった、一連の改革で発生し得る歳入増加分を、差し引きすれば歳出削減と同じであるとして計算に含めたからだ。
 その歳入増加分とは、輸出農業社会保障負担免除の取り消し(つまり今後は取り立てる)分、839億レアルだ。ただし、これには農村族議員たちが反対している。
 下院の中でも屈指の勢力を誇る農村族議員からは、「輸出農業社会保障負担免除を残さないならば、本会議採決で反対する」との声も出ている。
 モレイラ報告官は、公務員、教員からの要望を一部取り入れたが、警察官たちの要望は聞き入れられなかった。警察官たちは特に、ボルソナロ大統領所属政党の社会自由党(PSL)に不満の矛先を向けている。
 意見書の内容に対する不満の声は下院の有力者たちからも出ており、特別委員会での採決は今週中に行われない可能性もある。そうなると、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)が望む、7月18日からの議会休会前の下院本会議採決は危うくなる。
 特別委員会のマルセロ・ラモス委員長(自由党・PL)は3日、今後の予定を検討する、新たな会合を召集した。
 同委員長は、賛成さえ集まれば、3日の内にも採決する可能性もあるとしつつも、「採決を行うには、十分な賛成が得られるとの確証がなくてはならない。一か八かの採決は論外。各党や会派からの異議申し立てが出ている間は、性急な動きはとれない。我々は国の将来に対する責任を負っている」と語っている。