5月28日にボルソナロ大統領、ロドリゴ・マイア下院議長、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長、ジアス・トフォリ最高裁長官が大統領官邸で朝食会を行った際に披露された〃三権協定構想〃は、結局合意が成立せず、事実上のお蔵入りとなったと、4日付現地紙が報じた。
〃三権協定構想〃は、立法、司法、行政の三権の長が諸目標とそれを達成するための行動を取りまとめ、それに署名するもので、構想の発表当初は「6月初旬にも署名予定」(5月29日付本紙)とされていた。
しかし、合意文書は作成されず、意見、立場の相違が明らかになっただけとなった。
三権協定構想が披露されてから今日まで、議会や司法は政府の方針に反する議決(銃規制関連)や司法判断(Funai関連)を繰り返して行ってきた。
3日にサンパウロ市で行われた南東軍指揮官の交代式典に参加したボルソナロ大統領は、「方針が変わった。敢えて書面にして署名する必要はない。(行政の長として)立法、司法に求めたい協定とは、『必要な法案を採決すること』、『ポピュリズムに流されない司法判断を行うこと』といった、具体的な行動だ」と語った。
三権協定は元々、トフォリ最高裁長官が2月にボルソナロ大統領に提案したものだ。5月26日に発生した親政権デモの2日後に行われた朝食会では、〃国難を脱するための5カ条〃を中心に文書にまとめる構想が浮上していた。
5カ条は、「社会保障制度改革」、「税制改革」、「行政簡素化」、「国家機構再編製」、「路上および執務室内の犯罪の抑制」だった。
しかし、議会内で大きな勢力を持つ〃セントロン〃は、「執務室内の犯罪」の文言を、大統領が口にしていた「古い体質の政治」と同種の挑発行為と受けとめた。下院と上院は共に、この協定はボルソナロ大統領に「額面抜きの小切手を渡す行為」と理解し、三権協定に拒否感を示した。
また、司法界でも、判事などから、「三権協定は司法の独立を脅かしかねない」との声が出ていた。
マイア議長は、「イデオロギー色の付いた項目が含まれる協定の署名は難しいだろう」と語っている。他方、トフォリ最高裁長官は、「ブラジルが社会的、経済的に成長するための協定は(そもそも文書化して署名してなくても)三権全てにとっての義務。(現在も)三権内の調和と、三者が手を取り合って社会的、経済的な成長を目指す努力は必要だと思っている」と語っている。