ドイツとノルウェーが法定アマゾンの森林保護を目的とした「アマゾン基金」への支援打切りをほのめかしており、ブラジルの森林保護計画が危機に立たされている。4日付現地紙が報じている。
3日午後、リカルド・サレス環境相は、在ブラジル大使(ドイツのゲオルグ・ヴィッツェル氏とノルウェーのニルス・マーティン・グネング氏)を招き、アマゾン基金の件で話し合いを持った。両国は同基金の最大のスポンサーだ。
話は友好的な雰囲気の中で行われたが、ブラジルが同基金を所有地内に環境保護区がある地主への賠償金の支払いなどにも使いたいとしているのに対し、両国は同基金を森林伐採撲滅のために使うことを主張している。
両国との話し合いは、サレス環境相が同基金の用途の変更点をまとめた文書を渡すと約束した15日以降に持ち越された。同環境相は会見後、アマゾン基金が打切りになる可能性を口にした。
4日付エスタード紙によると、ドイツ政府は3日、同基金への寄付金3500万ユーロ(1億5100万レアル)の支出留保を決めた。ドイツは同基金に1億9300万レアルを寄付してきた。
これまで31億8600万レアルを寄付してきたノルウェーは継続を希望しているが、「森林伐採を減らし、持続可能性を高めるための方向性を具体的に見せること」を条件としている。
法定アマゾンの森林伐採は、ボルソナロ氏の開発容認発言後に増加しており、2018年8月~19年6月の森林伐採面積は、前年同期比15%増の4565平方キロに達した。6月だけ見ると920・4平方キロで、昨年同月比88%増だ。18年8月からの伐採が最も多い市はベロ・モンテ水力発電所のあるパラー州アルタミラで、234平方キロの森林が伐採され、問題となっている。
また、ドイツとノルウェーは、アマゾン基金運営委員会(COFA)とその技術委員会が、ボルソナロ政権によって一方的に廃止されたことと、先週始まったアマゾン基金に関する委員会に廃止された委員会に所属していた人が誰もいない状況に驚いている。
ノルウェー側は「ブラジルのパリ協定の遵守が継続のための最低条件だ」と主張している。ボルソナロ大統領は同協定離脱を主張していたが、フランスのマクロン大統領が、EUとメルコスルが自由貿易協定を結ぶ条件としてブラジルの同協定遵守を挙げたため、ボルソナロ氏がG20サミット会場でマクロン氏に残留を約束したというのが現状だ。
サレス環境相は、社会経済開発銀行(BNDES)によるアマゾン基金の運用状態の悪さを批判しているが、ドイツとノルウェーは、これまでの基金の運用のあり方を問題視してはいない。