【既報関連】下院特別委員会で4日午後、社会保障制度改革案に関する意見書の基本文書(texto-base)が賛成36、反対13で承認された。修正動議(destaque)の審議は5日未明まで続いたが、ボルソナロ政権の最重要課題は今後、下院本会議での討議、採決へと移る。
報告官サムエル・モレイラ下議(民主社会党・PSDB)が提出した意見書を採決するための委員会は4日朝10時に開会したが、修正動議の承認を終えたのは5日午前2時だった。承認が遅れたのは、事前に提出されていた多数の修正動議を否決していたからだ。
憲法改正を含む社会保障制度改革案承認には、下院の総議席数の60%以上(308票以上)の賛成が2回必要だ。下院本会議で承認されると、法案は上院の委員会審議に入る。
現行制度では軍警や消防士は州別に独自の年金受給規定がある。これを「軍人と同じ規定を適用する」という修正動議が否決され、条文が削られたことで軍警、消防士への恩恵は保たれた。
だが、連邦警察、連邦国道警察、議会警察、連邦刑務所職員などは、男性は30年、女性は25年年金を負担すれば、年齢に関わりなく年金を受給できていたのに、「これらの恩恵を継続させる」という修正動議が否決され、受給開始が認められる最低年齢は男女共に55歳、最低負担年数も30年に変更された。傍聴していた警察側の代表者からは、「PSLは裏切った」「ボルソナロの裏切り者!」との声も上がった。
また、教師は、「公立校教師は受給最低年齢なし、私立校教師は男性55歳、女性50歳。最低負担年数は男性30年、女性25年」を、公立、私立共に受給最低年齢を男性55歳、女性50歳にするとの修正動議が出たが、否決されたため、「男女の区別無く、負担年数は25年以上、受給最低年齢は男性60歳、女性57歳」となる。
経済省社会保障・労働特別局のロジェリオ・マリーニョ局長は、「賛成票は我々が考えていた数を上回った。大統領には個人的意見を持つ権利がある。議会にも、一般社会にもある。重要なのは採決結果。委員会出席議員たちは明確に判断を示した」と語っている。
ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は下院本会議の討議を9日に開始し、来週中の採決を目指す意向だ。パウロ・ゲデス経済相も、遅くとも今月18日の議会休会に入る前の下院採決を望んでいる。
ただし、政府は承認のための308票を完全に固めたとは言いがたい。また、委員会の意見書には含まれなかった、州や市の公務員への年金受給規定を国家公務員の規定と一律にすることなど、本会議採決の過程で多くの案件が加筆、変更される可能性も残っている。