「うちのお客様は3~4割が日系人や日本人。ミナス料理が好きな日本人は多いのよ」――創業者のマリア・ダス・グラッサス・オリヴェイラ・ホッシさんは、笑顔でそう語った。
「グラッサ・ミネイラ」は、メトロのサンタクルス駅から徒歩5分程度の好立地にある。店の外にもテーブルが置かれ、洒落た内装は2階まで続く。
創業は1993年9月24日。グラッサさんは「私は元々教師だった。昔から料理が好きで、良く作っていたの。最初は小さなお店から始まったんだけど、その当時ミナス料理店は、サンパウロ州に2軒しかなかった」と振り返る。
95年には、同じく教師をしていたアントニオ・ジョゼ・・ホッシさんが退職し、店の経営を一緒に行うようになった。徐々に評判を呼び、99年には今の場所へ移動。さらに客が増え、2010年に改修し、席数は250席に増えた。冬は特に客が多く、週末は1日で700人以上が訪れるという。
日本人客は、店を始めた当初から多かった。「オクラとか、日本人が食べる食材を使うからかしら。日本人はミナス料理が好きで、日本からお客さんが来るとこの店に連れてくることも多いのよ」。
近隣に日系医療機関のサンタクルス病院があるため、そこを訪れる日本人もよく足を運ぶ。また、日本人だけでなく外国人や他州のブラジル人、グローボTV局のリポーターや芸能人などの有名人も訪れる。
店のお勧めは、フェイジョアーダ・ミネイラ(104・90レアル)、ハバダ・ミネイラ(105・90)、メシダ・ミネイラ(105・90レ)だ。ボリュームもたっぷりで、一皿で2~3人が食べられそうな量がある。
メシダ・ミネイラは米、卵、コウベ、フェイジョン、干肉を炒めた焼き飯の上に、豚の皮をカリカリに揚げたトヘズモ、甘い揚げバナナが乗る。さらに、フェイジョンと鶏肉を煮込んでペースト状にし、ゆで卵を乗せたトゥトゥが付く。
塩気の強い料理に、酒、ウォッカ、カシャッサからベースを選べるカイピリーニャ(18・90レ)の爽やかさがよく合う。「目当てに来る人も多い」というデザート、セスタ・デ・チュロス(20・90レ)もオススメだ。
現在、サンパウロには30~40軒のミナス料理店があるそうだが、「皆ここで味を覚えるのよ」とグラッサさんは誇らしげに胸を張る。実際にパウリスタ大通り近辺の8店は、グラッサ・ミネイラから独立した人が経営者だという。
取材中、夫のアントニオさんが店内のテーブルを周り、客一人一人に声をかける様子が何度も目に入って来た。「私たちは、経営者自らがお客様に満足してもらっているか確認聞きに行く。接客が良く、値段が適当で、美味しいと言われるとホッとする。皆、グラッサ・ミネイラに来たら他には行きたくないって言うわ」とグラッサさんは微笑んだ。