樹海

むしろ、ばらされた方が良かったこと

モロ氏(Lula Marques)

 セルジオ・モロ法相が苦境に立ち続けている。サイト「ジ・インターセプト・ブラジル」からの漏洩文書を使った追及を道義的な問題にする人は少なからずいる。だが、「漏洩内容は国民の関心のあるもの」として、2度もルーラ元大統領絡みの漏洩で名をはせた同氏の主張の説得性に対する国民の答えは、6月30日に行なわれた、残酷なまでに閑散とした擁護デモで証明されていた、とコラム子は思う。加えて、2日に行なわれた2度目の下院での答弁も1回目と同じ「自分は被害者だ」ということを繰り返すだけで進展なし。さすがにこれでは苦しい▼それに、モロ氏や検察庁のラヴァ・ジャット(LJ)班は自分たちの話したことを晒されたとして激怒するが、中にはコラム子から見て「モロ氏はともかく、LJ班の人としては、自分たちの本音を知ってもらう意味でむしろ知られて良かったものもあったのでは」と思えるものさえあった▼それが6月29日未明、同サイトに掲載されたものだ。そこでは、2018年10月下旬のLJ捜査班の会話が紹介されており、モロ氏がボルソナロ氏の大統領選当選前後に法相就任を打診されたときの彼らの反応が表されている。そこで彼らは一様に、LJを担当していた人物が大統領の閣僚スタッフとなることで、LJのこれまでの「政治的中立性」が失われる可能性を危惧しているのだ▼現在の報道では、LJ班がこの漏洩を否定しているというが、これのどこを否定したいというのか。これはコラム子が当欄で再三主張してきたことと全く同じことであり、この話を聞いて「LJ班の多くがまともな感性を持っていた、ということじゃないか」と、むしろ嬉しく思ったほどだ▼さらに、この捜査官の中のひとり、ジェルーザ・ヴィエシリ氏は、この漏洩の中で、自身の懸念を次のように語っている。「一方の候補(ボルソナロ氏)が、大統領が検察庁長官を指名する際、検察官が内部選挙で選んだ3人のリストから指名するという伝統(トリプリセ)を、イデオロギー上の理由で拒否することを公言している時に、私たちが何も言えないのは重大な問題だ」「LJが後年振り返った時に“PTを駆逐するためのものだった”などと思われるのは本当に嫌だ」▼この言葉などは、むしろ知られるべきだ。まさに検察庁長官のトリプリスは6月にすでに選ばれたばかりで、これに対してボルソナロ氏が3人の内容に難色を示していることが報じられている。これでもしボルソナロ氏が、検察庁内部でも信用されていない誰かを一方的に長官に指名して、検察の捜査を自分のイデオロギーのままに進めさせるような状況を作ったとしたら・・・。そうなると、事態はもう、今回のモロ氏にささやかれている「偏った判断」どころの話ではなくなってしまう▼ただでさえ、「ラヴァ・ジャット作戦」と聞いて熱狂するような人は、今回の漏洩スキャンダルがなくとも潜在的に減っていた。それはモロ氏自身が、自分の善良なイメージを、特定の政治勢力を執拗に嫌うひとりの政治家に既に与えてしまっていたからだ。LJ支援者を意味する「ラヴァ・ジャチスタ」という言葉はボルソナロ氏の支援者や保守系の人々のみのイメージになっていて、「幅広い国民が愛し、誇りに思う」ものでは、もうとっくになくなっている▼「LJの信頼を取り戻すためにはどうしたら良いか」。その答えは、「モロ氏を英雄と呼んでひたすら擁護する」ことなどではないと思う。(陽)

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