【既報関連】16日に最高裁のジアス・トフォリ長官が下した「司法当局の許可を得る前に、金融活動審議会(Coaf)、国税庁、中銀などの内部データを使用して行われた金融犯罪調査を全て一時停止する」との決定が、進行中だった多くの捜査や裁判に影響を及ぼし始めたと、18日付現地各紙が報じた。
サンタカタリーナ州で行われていた、公共事業の不正入札疑惑の容疑者側弁護人3人は早速、トフォリ長官の判断を根拠として、捜査の延期または無効化を求める請願を行った。
サンタカタリーナ州での疑惑の捜査はアルカトラス作戦の名が付いている。今年5月に発動された同作戦では、少なくとも18人が告発され、8人が逮捕された。
同事件では、連邦裁判所が最近、連警に対して捜査期間の延長を認めており、新たな嫌疑や新たな容疑者が浮上する可能性もあった。
アルカトラス作戦関連の捜査差し止め請求は、トフォリ長官の判断が出た数時間後(16日夜)に行われた。請求先はリオ・グランデ・ド・スル州の第4連邦地域裁(TRF―4)だ。
昨年12月に性的暴行疑惑で逮捕された、自称心霊治療家のジョアン・デ・デウス被告の裁判にも、トフォリ発言が影響する。
被告に性的暴行を受けたと訴えている女性は、ほぼ100人に及ぶ。同被告は8件の裁判を抱えており、ゴイアニア州の刑務所で7カ月間身柄を拘留されている。
同被告には、信者からのゆすり、資金洗浄、金融犯罪の容疑もかけられている。捜査班作成の報告書は、被告を組織犯罪の長と位置づけている。
同被告の弁護担当のアルベルト・トロン氏は、「司法の正式な許可もなく、金融活動管理審議会(Coaf)のデータが検察に渡っている。当然ながら、資金洗浄に関しては、捜査差し止めを請求出来る」と語った。
連邦検察庁はトフォリ長官の決定への懸念を隠さず、「長官の決定は、汚職疑惑だけでなく、薬物密売、組織犯罪を暴く捜査や裁判にまで悪影響を与えかねない。国際的な犯罪組織やマネーロンダリングに関する金融活動作業部会(GAFI)から、『ブラジルはマネーロンダリング対策が甘い』と制裁を受けかねない」「国税庁が銀行からの情報を使えるとした16年の最高裁判断に反する」などの声を挙げている。
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