ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》社会保障制度改革=経済省特別局長が中間報告=削減規模は原案比25%減=それでも前向き姿勢崩さず=下院の審議再開は8月から

《ブラジル》社会保障制度改革=経済省特別局長が中間報告=削減規模は原案比25%減=それでも前向き姿勢崩さず=下院の審議再開は8月から

ロジェリオ・マリーニョ特別局長( Wilson Dias/Ag. Brasil)

 【既報関連】社会保障制度改革案は、先週、下院で1回目の基本文書と修正動議の承認が達成された。議会休会明けの8月に下院2度目の審議が開始され、その過程で歳出削減規模が小さくなる可能性はあるものの、現状の歳出削減効果は今後10年間で9335億レアル規模であると、18日に経済省の社会保障労働特別局のロジェリオ・マリーニョ局長が発表した。19日付現地各紙が報じた。

 9335億レアルの内訳は、純粋な歳出削減が9143億レアルで、「純益に対する社会納付金」(CSLL)の税率を15%から20%にアップすることによる歳入増が192億レアルだ。正式発表前のマリーニョ特別局長による見立ては、「8千億レアル以上の歳出削減は確実」だった。
 2月に政府が提出した原案では、CSLLの分を考慮に入れず、1兆2400億レアル削減の見込みだったから、削減規模はほぼ25%ダウンした。また、経済学者パウロ・タフネル氏の見立ては経済省より厳しく、削減効果は8300億レアルと概算している。
 マリーニョ特別局長の会見に同席したレオナルド・ロリン社会保障局長は、「民間企業に務める女性労働者がINSSを通して受け取る年金受給条件の緩和が、歳出削減規模を最も縮小させた」とも語った。
 パウロ・ゲデス経済相は1兆レアルの削減を狙っていたが、下院での初回承認でこの期待は崩れた。社会保障制度改革成立のためにはまだ、下院での2度目の採決と、上院憲政委員会、上院本会議での2度の採決が残っている。
 ゲデス経済相は、「歳出削減規模が小さくなってしまえば、カピタリザソンの提案が出来なくなる」と語っていた。カピタリザソンとは、年金負担者がリスクを認識した上で、積み立て金の運用先を複数の選択肢の中から選択する仕組みで、チリで採用されている。
 カピタリザソンは下院の委員会審議の段階で取り除かれたが、今の改革案が上院でも承認された後に、別の法案提出の形で再び議論される可能性もある。
 マリーニョ特別局長は、「今ブラジルで行われようとしている改革は、世界でも類をみない規模。我々はブラジルに、より大きく、より広範囲の社会保障改革を提案している」と語った。
 また、同特別局長は「削減規模は想定より小さくなったが、ゲデス経済相は満足感を示した」と語り、「上院承認が達せられるのはいつだと想定しているか?」の質問には、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)の見立てと同様、9月と答えた。
 連邦議会は上下両院共に18日から今月一杯まで、憲法の定める休会期間に入っており、下院本会議での審議再開は8月6日からだ。