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《ブラジル北東部》空港落成式に知事ら欠席=大統領の失言の余波続く=警備で責任のなすり合いも

落成式でのボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 ボルソナロ大統領は23日、バイア州ヴィトリア・ダ・コンキスタのグラウベル・コッシャ空港の落成式に参加したが、バイア州知事や州議会議長は欠席。警備を巡り、大統領と知事の間で責任のなすり合いさえ起きたと22、23日付現地紙サイトが報じた。
 落成式は23日午前11時からで、大統領は同日朝、バイア州のルイ・コスタ知事(労働者党・PT)が軍警の派遣を許可しなかったのは「嘆かわしい事」と発言した。
 これに対し、コスタ知事は、落成式は連邦政府の行事であり、大統領の警備は連邦レベルの治安関係者の責任と反論。空港には大統領支持者だけでなく、大統領への抗議の意を表明したい市民も集まるとし、「抗議のために集まる人々に攻撃を加えるために州軍警を派遣する事は出来ない」と語ると共に、空港は軍兵士と板囲いで囲まれている事も明らかにした。
 今回の空港落成式は、19日に起きたボルソナロ大統領の失言問題後、初めての北東部でのイベントだ。大統領が落成式の中で、「私は北東部を愛しているし、政党などへの偏見はない」などと説く様子は、空港外に設置された大スクリーンにも映し出された。
 なお、問題の失言は、19日朝の外国人ジャーナリストとの朝食会に先立ち、オニックス・ロレンゾーニ官房長官と交わした非公式の会話の中で起きたものだ。
 ボルソナロ大統領は官房長官に「あのパライバの知事達、中でも最悪なのはマラニョン州知事」と耳打ちしたが、この言葉をマイクが拾い、朝食会の録画の一部として流れてしまったのだ。
 北東部の知事達は同日中に、「自分達は憲法と民主主義の原則に則り、連邦政府と生産的な関係を保とうとして来た。政治的な立場の違いを超えて、常に国民生活の改善をめざし、対話や協力に努めて来たのだ。我々は今、大統領発言に驚きと深い憤りを覚えている。ここに大統領側の釈明を求め、再度、連邦主義と民主主義を擁護する」との文書を提出したが、大統領府はコメントを避けている。
 コスタ知事は22日、落成式はバイア州政府が連邦政府を招待して行うはずだったのに、連邦政府が北東部やバイア州の人々を除外し、大統領支持者中心の僅かな人のみを招待し、党大会に準ずるイベントとしてしまったとして欠席を表明。
 サルバドール市長のACM・ネット氏(民主党・DEM)やヴィトリア・ダ・コンキスタ市長のエルゼン・グスマン氏(民主運動・MDB)は出席したが、州議会議長のネウソン・レアル氏(進歩党・PP)や空港の名前となった科学者のグラウベル・ロッシャ氏の娘パロマ氏は、知事に連帯して、欠席を決めた。
 新空港は、連邦政府が7400万レアル、州政府が3100万レアルを投じ、5年間かけて建設された。営業運航は25日からで、バイア州からミナス州にまたがる近隣100市の住民230万人の必要に応える事になる。