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トメアスー=ブラジル政府がカカオ特産地に認定=アマゾン移民初の生産品

柴田シルヴィオ一宇ACTA会長(左)へ登記証書の授与

 今年6月18日にリオデジャネイロ州のブラジル産業財産庁(INPI)において、パラー州初となる「カカオ特産地」認定の登記証書が、トメアスー文化農業振興協会(ACTA)の柴田シルヴィオ一宇会長に授与された。
 トメアスー市は、1929年に南米拓殖株式会社がカカオのプランテーション造成のためアマゾン原始林に斧を入れて以来、90年を経てカカオ特産地に指定された。昨年の南バイア州に次ぎ、ブラジル第二のカカオ産地となる。
 産地認証申請は、東京農工大学とトメアスー総合農業協同組合(CAMTA)が2011年から5年間実施した、JICA草の根技術協力事業「ブラジルアマゾンの農村所得向上と環境保全修復のための日系『遷移型アグロフォレストリー』普及認証計画」(服部順昭代表)の中で行った。
 14年に非営利団体ACTAを通じINPIに出願し、連邦カカオ院、ブラジル零細・小企業支援サービスパラー州農業局、西村俊治技術財団等の支援を得て、5年がかりで認証を取得した。
 乙幡アルベルト敬一CAMTA理事長は「JICA草の根技術協力事業で静岡県庁を訪問した際、農業生産者にとって産地認証取得は、農業生産工程管理認証取得への第一歩となるということを学んだ。我々もその目標に向かって着実に進みたい」と今後について言及。
 また、「西半球でトメアスーが発祥となるコショウについては、上位の産地認証制度である原産地名称保護取得に挑戦したい」と抱負を語った。
 トメアスー市カカオ生産者の大半は、マメ科等被陰樹を用いたアグロフォレストリーでカカオを栽培している。16年のトメアスー市カカオ豆生産量は2600トン、うちCAMTA加盟カカオ農家130戸の組合出荷量は400トンで、主に日本の株式会社明治に販売され、「アグロフォレストリーチョコレート」や「THE Chocolate」シリーズ製品の原料となった。
 今後、南米共同市場に加え、欧州連合がブラジル産地認証を受け入れることにより、世界各地からの農産物紹介が増える見込みだ。
 トメアスーの農業生産者が農産物の産地認証の登記証書や農業生産工程管理の理解を深め、アマゾンの持続的農業開発において移住90周年を機に、益々強いリーダーシップを発揮することが期待されている。