【既報関連】連邦政府は24日、勤続期間保障基金(FGTS)の引き出しを認めると発表した。FGTSは企業側が労働者の給与に応じて積み立てる基金で、本来なら、退職後にのみ引き出しが認められるが、退職前の引き出しを可能にすることで、国民の消費を活性化させ、国内総生産(GDP)成長率を上げることが狙いだ。
これまでのFGTS引き出し解禁政策は、休眠口座(conta inativa、前の勤務先で積み立てていたが、現状動きのない口座)からだけに限られてきたが、今回は今の勤め先で積み立てている口座(conta ativa)からも引き出せる。
引き出し額は各口座500レアルまでで、両タイプを合わせて口座が複数ある人は、各々の口座から500レずつ引き出せる。
引き出し期間は今年9月から来年3月までだ。テメル政権時のFGTS引き出し解禁では、誕生月毎に、引き出せる日が別々に指定された。今回の引き出し解禁の日程などの詳細は、8月5日に発表される予定だ。
また、民間企業のFGTSの他に、公務員が積み立てる類似の基金、社会統合基金/公務員財形計画(PIS/PASEP)からの引き出し解禁も発表された。
政府は、9600万人が恩恵を受け、2020年までの経済効果を420億レアルと見積もっている。休眠、稼働中も含めたFGTS口座は2億6千万あり、その81%にあたる2億1100万の口座の残高は500レ以下だ。それらの口座からは全額が引き落とせる。
FGTSを管理している連邦貯蓄銀行(CAIXA)に口座を持っている人には、FGTS口座から自動的に500レアルが入金されるが、CAIXAに口座を持っていない人に関する詳細は、今後、明らかにされる。
また、ボルサ・ファミリア(生活扶助)受給者は、ボルサ・ファミリア受け取り用カードで、CAIXAの自動支払機からお金を引き出せる。また、FGTS口座の残高が100レアル以下の人はロテリカで引き出せる。
新規引き出し方式も発表
政府はまた、今回の引き出し解禁とは別に、2020年からは年1回、誕生月にFGTSの引き出しを認める「誕生日引き出し」も発表した。
この権利を行使する場合、労働者は「正当な理由なしに解雇された場合にFGTSを全額引き出せる」という権利を諦めなければならない。
「誕生日引き出し」の上限比率はFGTS口座の残高によって決まり、多く貯まっている口座ほど、引き出し上限比率が低く設定される。
労働者は、誕生日引きき出しを選ぶか、現状制度(引き出しは基本的に退職時に限る)のままにするかを、CAIXA側に通告する必要がある。