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 ブラジル日系熟年クラブ連合会の機関誌『ブラジル老荘の友』545号を見ていたら、羨ましい話が出ていた。毛利ペドロさんの投稿によれば、妻と二人で金婚旅行に日本45日間めぐりをしたという。下関でフグ料理、富山でホタルイカ、宮城県の松島ではイカやカキ、北海道の函館ではタラバガニやイクラ、ホタテ三昧、イカソーメンも味わったとか。帯広ではジンギスカン(羊)料理を食べた。読んでいるだけでヨダレが垂れそうな体験談。かと思えば、井出香哉さんの投稿には考えさせられた。いわく《何十年ぶりからで、日本に行き、驚いたのは近所の友達を訪問しようと思ったら、電話で都合を聞かないといけないし、昔の様に近所付き合いがないから誰の消息もわからないと聞かされたこと》だとか。「ふるさと」との距離は微妙?
     ◎
 俳誌『朝蔭』476号が6月に刊行された。《敬老日お昼の用意二百人》(堀百合子)。祝ってくれる若い人より、老人の方が多いご時世を反映した作品。《一刻もケイタイ放さず昼寝の子》(大石喜久江)。今どきの子供の生態を見事に描写した一句。《行く秋や亡妻遺せし俳句帳》(堀石凡生)は、妻の俳句帳を手に読もうか、どうしようかじっと黙考する様子か。胸が締め付けられる情景描写。《コスモスに新聞投げ込むオートバイ》(箕輪美保子)。もしやニッケイ新聞の配達人が、読者が大切に育てているコスモスに新聞を投げ込んでいる?! そうであれば、まったく申し訳ない。