【既報関連】セルジオ・モロ法相とラヴァ・ジャット(LJ)作戦担当検事のデルタン・ダラグノル氏らのスマートフォンをハッキングした容疑で、23日に逮捕されたハッカー4人が、ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)、ロドリゴ・マイア、ダヴィ・アルコルンブレ両院議長(共に民主党・DEM)、ラケル・ドッジ連邦検察庁長官、さらに少なくとも1人の最高裁判事もターゲットとしていたことが分かった。26日付現地各紙が報じている。
ハッカーたちは、ボルソナロ大統領が通信アプリ、テレグラムを使って行った通信のハッキングに成功したと供述している。
ボルソナロ大統領は25日、通信内容が漏れた恐れがあると知らされたが、「国政の重要事項は携帯電話でやり取りしていないから、私のやりとりを盗み見ても時間の無駄だ」と語った。
ハッカーグループの主犯格と見られる、アララクアラ市在住の〃ベルメーリョ〃こと、ヴァルテル・デルガッチ・ネット容疑者は、モロ法相とダラグノル検事のやり取りを、ニュースサイト「ジ・インターセプト・ブラジル」に漏らした際に、サイト運営者のグレン・グリーンウォルド氏に名を名乗らず、報酬も要求しなかったと供述している。
ハッカーたちが、「ボルソナロ大統領のスマートフォンから盗み出した情報」と主張している通信記録は、連警ではなく、司法当局が調べている。
ハッカー集団はサンパウロ州アララクアラ市に基地を作り、ハッキングを行っていた。
連邦警察によると、狙われた約1千人の全てが、携帯をハッキングされ、私的通信を盗み見られた訳ではない。ロドリゴ・マイア下院議長は、「テレグラムを使ってもいない」としている。
逮捕された4人には当初、禁固最長3年4カ月である、情報機器不正アクセス、通信不正傍受の嫌疑がかけられていた。だが、国家権力の中枢にいる人物の通信を傍受し漏洩したとなれば、国家保安法違反に問われ、禁固は最長15年になる可能性がある。
ジョゼ・ノローニャ高等裁判所長官や連邦検察庁所属検事25人、パウロ・ゲデス経済相らもハッキングの標的になったとされており、正確な数は分かっていない。
連警によると、伝言を入れるカイシャ・ポスタルだと暗証番号を入力せずにアクセスできるという、電話会社の不備につけこんだ犯行だ。連警は25日、国家電気通信庁(Anatel)に対し、ブラジル国内の通信システムには弱点があると連絡した。
また、今回の情報漏えい事件の“最大の被害者”であるセルジオ・モロ法相は、ハッカーたちに情報を抜かれた疑いのある人々に対し、「警察が押収した情報は司法当局の手にあり、プライバシー保護の観点から、内容の精査さえせずに消去される」と発言した。
ただし、本当に情報が消去されるか否かは法相の管轄ではなく、司法当局の判断となる。