サンパウロ州内陸部サウト市で、妻が拾ってくるゴミの山に辟易した夫が塀を壊し、道路にゴミを投げ出すという事件が発生。市役所の助けを得て処分したゴミは9・2トンに及び、トラック7台で運び出された。
ジャルジン・トレス・マリアス区でのゴミの投げ出しは、22日に起きた。近隣住民を驚かせた主は82歳の男性で、90年代に母親を亡くした妻(77)が、以来約20年間、あちこちで拾っては持ち帰った品物の山にたまりかねての事だったという。
妻が持ち帰った品は、段ボール箱やガラス、古くなった家具など、実に雑多で、道に投げ出したのはほんの一部だった。
この夫婦には子供はなく、最も近い親戚は、同じ道筋に住見、やはり年配の兄弟達だ。
夫婦の家の車庫は、紙や雑誌で満杯の段ボール箱やマットレスなどで埋まり、車庫の扉(門)は完全に塞がっていた。
そこで夫がとった最終手段が、塀の一部を壊してそこから出入りし、ゴミを道路に投げ捨てるという行動だった。
大量のゴミが投げ出されたと聞いた防災局の職員が現場に急行し、歩道の掃除をしたが、それだけでは事態は何も変わらない。デング熱を媒介する蚊やねずみなどの巣となる可能性もあると心配する夫や住民の声は、当局にも届いた。
防災局から連絡を受けた市役所は、社会福祉局や保健局衛生管理課、環境局とも連絡を取り、精神面の健康のケア責任者も伴って夫婦を訪問。妻の病気への対応と並行して、瓦礫などの整理を行う事になった。
この妻のように、周囲の人にはゴミとうつる物が大切で手放せず、何でも集めておく例は、2013年に精神科の病気の一つと認定された。この病気の人は人口の5%いるとされている。
サウト市の夫婦の場合は、防災局や市警備隊、社会福祉局、環境局の支援を得て大掃除を実施。25日までに9・2トンのゴミが運び出された。26日に市役所が行った報告によれば、ゴミの8割は再生利用ゴミの処理施設に運ばれたという。77歳の妻は、大掃除の間に、病院で診察や投薬なども受けた。
なお、サンパウロ州では今年の2~4月にも、デング熱が大流行していたアグード市で、市中央部の大きな民家から、総計100トン、トラック37台分のゴミが運び出された例がある。近隣住民からの通報を受けて家屋に入った市職員らは、ねずみの糞尿で汚れ、悪臭も漂う衣類や靴、書籍その他のゴミの除去に迫られた。作業には手袋やマスクが不可欠だったという。
家主の男性は市職員らの介入に文句を並べ立てたが、職員らは裁判所の許可も得ており、屋内外の清掃を敢行。この家は800平米に及ぶ区画の中にあり、屋内には九つの部屋があったが、全室にゴミが溜まっていた。屋外には瓦礫類もあり、デング熱を媒介する蚊の発生源となる水溜りも多数あったという。(7月23、26日付G1サイト、並びに、2月28日、4月3日付G1サイトより)