ブラジル北部パラー州アルタミラ市の刑務所、アルタミラ地域更生センターで29日朝、囚人同士の抗争に端を発する暴動、虐殺事件が発生。少なくとも57人の囚人が死亡した。29、30日付現地各紙・サイトが報じた。
ブラジル北部では、今年5月にもアマゾナス州マナウスで囚人暴動が発生し、複数の刑務所で55人が死亡している。
亡くなった57人中、16人は斬首された。パラー州刑務所管理局によると、暴動は二つの犯罪組織、コマンド・クラッセA(CCA)と、コマンド・ヴェルメーリョ(CV)同士の覇権争いが原因だ。CCA構成員たちは、午前7時頃、CV構成員たちが多く収容されている刑務所内部の一棟に火をつけた。死者の多くは窒息死だった。2人の刑務所職員が人質となったが、その後、解放された。暴動は正午前後に鎮圧された。
今回の大規模暴動・虐殺事件では、銃器は発見されず、秘密裏に手作りされた刃物が使われたのみだった。
ジャルバス・ヴァスコンセロス刑務所関連担当局長は、「職員が一旦人質に取られたのに直ぐに解放されたのは、暴動の目的が刑務所管理体制への抗議ではなく、敵対グループへの攻撃だったから。暴動の発生を事前に察知することは困難だった」と語っている。
国家法務審議会(CNJ)の報告書によると、アルタミラ地域更生センターの設備の格付けは最低ランクだった。この報告書には、囚人の過密収容や、刑務所職員の数が不足していて安全性を保てないことなどが書かれていた。また、携帯電話の電波ブロック機能も医務室もなかった。
同センターの規定収容人数は163人だが、343人を収容していた。職員の数は33人だった。しかし、パラー州政府は過密収容を否定している。
セルジオ・モロ法相は同州知事のエルデル・バルバーリョ氏(民主運動・MDB)に電話をかけ、事件の首謀者たちを連邦政府管轄の刑務所に移すことを約束した。パラー州政府は、「他の場所に隔離するため、リーダー格を特定するようにと法相が求めてきた」と発表した。
法相は午後4時50分過ぎに、「アルタミラ刑務所での暴動に関し、法務省はパラー州政府を支援するために行動している。私の意見では、暴動の首謀者たちは連邦刑務所内で永遠に幽閉されるべき」とツイートした。
パラー州政府は29日に、州軍警の戦略作戦グループが刑務所の敷地内に留まり、活動すると書面で発表。近隣市からも応援部隊が派遣され、同市内で数週間活動する。