世界保健機関(WHO)が7月26日に、世界171カ国の中で、政府が主導する形で禁煙活動を行い、成果を挙げている国として、ブラジルとトルコを賞賛した。
ブラジルとトルコは、煙草の流行を食い止めるためのMパワーと呼ばれる計画を導入している国の一つだ。Mパワーが採用しているのは、(1)煙草の使用状況や予防のための政策の監視、(2)煙草の害から人々を守る、(3)喫煙を止めたい人への支援、(4)喫煙のリスクを周知させる、(5)煙草に関する宣伝やプロモーション、スポンサー契約禁止、(6)煙草への税引き上げの6方策だ。
慢性病のリスクと保護に関する電話調査によると、18年のブラジルの喫煙人口比率は9・3%で、同調査開始年(06年)の15・7%と比べて、6・4%ポイント(39%)減少した。ルイス・エンリケ・マンデッタ保健相によると、喫煙人口比率は、毎年、低下しているという。
同調査によると、18~24歳の喫煙人口比率は12%から6・7%、35~44歳は18・5%から9・1%、45~54歳は22・6%から11・1%にという具合に、全ての年齢で比率が下がっている。同期間中の女性の喫煙人口比率は44%減少した。
政府が主導する形の禁煙活動は1990年代に始まり、統一医療保健システム(SUS)で喫煙者の診察や禁煙希望者を支援する活動を行うようになった。SUSでは禁煙希望者への指導、錠剤や貼り薬などの提供が無料で行われており、18年は13万4千人がこのサービスを利用した。
05~16年に公的な医療機関で禁煙指導や治療を受けた人の数は、およそ160万人だ。禁煙に関する質問などを受け付ける電話サービス(136番)も実施中だ。
煙草価格に締める税の割合も、08年の57%が83%(18年)へと、大幅に引き上げられた。閉鎖空間での喫煙を禁ずる市や州の条例は、11年から採用され始めており、毎年、条例数が拡大している。
喫煙は気管や気管支、肺のガンも引き起こす。ブラジルでは昨年、男性1万8740人と女性1万2530人が、煙草によるガンで亡くなった。
15年の場合は、煙草が原因の心臓疾患で3万4999人、慢性的な肺疾患で3万1120人、前記以外の器官のガンで2万6651人、肺ガンで2万3762人、受動喫煙による疾患で1万7972人、肺炎で1万900人、脳血管障害で1万812人が、各々、亡くなっている。
15年の場合、煙草に起因する疾患治療費などにかかった直接的な費用は394億レアル、煙草の害によって早期に死亡した事や就労不能となった事などによる間接的な損失は、175億レアルと計算されている。(7月26日付アジェンシア・ブラジルより)
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