7月30、31日に開かれたブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)において、16カ月ぶりの利下げが全会一致で決定された。経済基本金利(Selic)は昨年3月下旬に、史上最低水準の年利6・50%に設定されて以来、10会合連続で据え置かれてきたが、今回0・50%ポイント(P)下がり、史上最低水準を更新する年利6・00%になったと、1日付伯字各紙が報じている。
今回の利下げは「経済の低迷」、「低インフレの継続」、「社会保障制度改革案、下院で1回目の承認」などの要因が重なって起きた。Selicは1996年の制定以来、すでに史上最低の水準になっているが、中銀は更なる利下げの可能性をも示唆した。中銀の決定にボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)も満足感を示している。
金融情報サイトMoneYouや、インフィニティ・アセット・マネージメントによれば、政策金利からインフレ率を引いたブラジルの実質金利は1・63%で、まだ世界では8番目の高さ。
今回のCopomでの利下げは大方の経済関係者が予想していた。意見が分かれていたのは、下げ幅が0・25%Pか、0・50%Pかという点だった。
中銀は会議の後、Selic切り下げと決定の根拠、経緯、今後の見通しなどを説明した。中銀によると、「インフレリスクが抑制されていることで、思い切った利下げを選択した」という。また、「経済活動指数などからは今後のブラジル経済が回復する可能性が読み取れるが、その勢いは限定的」であることや、「国際経済情勢はブラジルにとって追い風」との見解も明らかにした。
7月31日は、ブラジルの利下げ決定直前に、米国も政策金利を0・25%P下げ、「2%から2・25%の範囲」と定めた。米国の利下げは約10年半ぶりだ。
利下げによって生じ得る副作用にインフレがあるが、6月末時点での直近12カ月間の累積インフレ率は3・37%で、今年のインフレ目標の4・25%を下回っている。中銀側は「利下げを後押しする要因が重なっている。更なる利下げも可能」と見ているが、「社会保障制度改革が挫折したら、インフレ抑制のためには大きなマイナスとなる」との懸念も示した。
中銀の利下げ発表と時を同じくして、国営の連邦貯蓄銀行(CAIXA)も2日付で、主要融資プランの金利を引き下げると発表した。同行は8月19日から「Caixa Sim」と名づけた新融資プランを投入することも明らかにした。
ペドロ・ギマランエス頭取は、「月に10%から20%も利子をとることは合理的ではない。当行は、企業向け、個人向けを問わず、全ての融資プランで金利をさげる」と発言した。