日本の大型総合商社、三井物産が、ブラジル事業の拡大に意欲的な姿勢をみせていると、2日付エスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。
同紙は、「ブラジルの石油公社ペトロブラス(PB)と共同でガスペトロの経営に参画し、国内19州のガス供給事業にも携わっている三井が、ブラジルのインフラ部門、エネルギー部門、病院部門などを視野に入れている」とした。
今年初めに三井は、リオ市近郊鉄道SuperViaをおよそ8億レアルで買収した。ただし、ブラジル国内の鉄道部門での投資の中心は、農産品や鉄鉱石などのコモディティの輸送だ。
同紙は、「三井物産はブラジルの医療分野への参入も計画している」と報道している。ブラジルの医療部門には中国資本やその他の国際投資ファンドも目をつけている。ボルソナロ政権が狙っている、公社民営化も三井物産の視野に入っているが、まだ価格が高いと見ているようだ。
PBが行おうとしている石油採掘エリア毎の売却には余り興味はなく、買収するならば、あくまで、個別に採掘権や資産を狙う方針だ。PBは現在、子会社のガスペトロの株を手放そうとしており、三井もガスペトロへの資本参加率を高める可能性も捨てていない。
三井物産の幹部は、今週、ブラジルを訪れ、サンパウロ市のサンパウロ州工業連盟(Fiesp)本部で行われた全国工業連盟(CNI)主催の会合に参加した。
Fiespのディレクター、ジョゼ・リカルド・ロリス・コエーリョ氏は、「日本企業はこれまで、『ブラジルでのビジネスは法的リスクが高い』と二の足を踏んできたが、近年の汚職取締りの強化から、ブラジル進出の意欲も高まっている」と語った。
三井物産は、サンパウロ州、ミナス州、リオ・グランデ・ド・スル州、連邦直轄区で行われた鉄道工事を巡る入札で違法カルテルを形成した11社の一つであるとして、7月はじめに経済防衛行政審議会(Cade)から罰金刑を受けたが、エスタード紙は同社が違法行為を否定していることもあわせて報じている。