【既報関連】トランプ米大統領が1日、中国からの輸入品3千億ドル分に10%の追加関税を課す意向を示したことを受け、中国政府は5日、過去10年で初の1ドル=7元を超える元安を容認すると共に、米国産の農産品の輸入を一時停止するなど、両国間の貿易戦争が激化している。
この影響は世界経済全体に及び、5日のサンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)はマイナス2・51%の10万97ポイントを付け、ドル/レアル相場も1・66%ドル高の1ドル=3・96レアルとなった。6日付ブラジル各紙が報じている。
トランプ米大統領は、中国の自国通貨安政策は、中国産製品を輸出で有利にするための為替操作だと非難している。
ブラジル経済研究所(Ibre)所属の経済学者、リヴィオ・リベイロ氏は、「短期的に見れば、世界経済の成長にとってブレーキ要因。今、我々が目にしているのは、米国と中国が貿易における利益を巡って争っているというだけでなく、今後の世界の覇権をどちらが握るかという地政学的争いだ。我々は新冷戦に巻き込まれたといえる」との見解を表明している。
リベイロ氏は、今回の中国の動きによって、これまでは常に米国より穏やかな施策で対応してきた中国の方針がより強硬なものへと変わったと見るべきかは、判断を待つべきだとしている。
また、ブラジル紙は、世界経済の安定性が失われたことで、国際投資家たちの方針が、ブラジルのようなリスクの大きい新興国から、よりリスクの低い国へと変わる可能性も指摘した。
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