「再来年の『世界のウチナーンチュ大会』でまた会いましょう!」――アンコールに応えた宮沢和史(53、山梨県)は、そう会場に呼びかけた。今月3、4両日に沖縄県人会、沖縄文化センター、沖縄県人会ビラ・カロン支部(小波津セルジオ会長)が共催する『第17回おきなわ祭り』(上原マリオ正実行委員長)がサンパウロ市営サッカー場で行われ、特別ゲストにバンド「ザ・ブーム」のボーカリストとして有名な宮沢和史も出演。名曲『島唄』をはじめ沖縄やブラジル愛溢れる歌を披露し、観客は一体となって公演を楽しんだ。
3日夜、ステージの最後に宮沢和史と日系アルゼンチン人の大城クラウディアが登場し、コロニアで愛唱されている『島唄』や『風になりたい』、沖縄民謡など8曲を歌った。観客に馴染みある曲が多く披露され、会場のあちこちから一緒に歌う声が聞こえた。
中盤では、「自分がブラジルの名曲の中でも最も愛する曲」というアントニオ・カルロス・ジョビンの「Se Todos Fossem Iguais A Você(もし皆があなたと同じなら)」をしっとりと歌いあげた。
彼がプロデュースした沖縄県系二世の大城クラウディアも、うちなーぐちの「いちまでぃん」を披露。澄んだ歌声に、会場のウチナーンチュのみならずブラジル人も大きな拍手を送った。
ラストは、琉球國祭り太鼓とコラボした「島唄」。「いつの日か沖縄が本当の幸せを掴んで、世界中のウチナーンチュが幸せになるように」と祈りを込めて歌った。
鳴り止まない拍手に、再登場した宮沢和史はアンコールで「シンカヌチャー(仲間達)」を披露。レキオス芸能同好会エイサー太鼓と共に、会場が一体となる圧巻の歌声を響かせた。
ブラジル音楽を愛するだけに、来伯回数は25回目。「1994年にリオでCDや楽器を買って自分なりに勉強した」と語る姿勢に敬意が滲む。翌年にザ・ブームとしてブラジル初のライブを開催。以降も公演を重ね、徐々にブラジル国内でも知名度を上げてきた。
ブラジルでの活動を重ねる中で日系人と出会い、移民史に興味を持つように。交流を重ね、昨年の110周年を祝う県連日本祭りに招待され出演。その際に、おきなわ祭りでの公演の招待を受けた。
宮沢和史は、会場を見つめて「沖縄系の人が集まる祭りに来ると、世界中にオキナワがあることを実感する」と微笑んだ。
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おきなわ祭りで宮沢和史の公演を観に来た金城エジソンさん(57、二世)は、デカセギに行った20年前からのファン。「日本の友達にザ・ブームを紹介してもらって知った」とし、自分でも聞くようになった。ブラジルや音楽を愛する彼を「ブラジル人としてとても嬉しい」と喜び、「今日も大好きな『島唄』と『風になりたい』を聞けて、とても良かった」と公演に大満足の様子だった。