≪ブラジル≫ルーラ大統領、刑務所移動命令で騒動=悪名高きサンパウロ州トレンベーに=PTのみならず政界が大反対=最高裁投票で却下

7日朝、クリチバの連邦地裁が、ルーラ元大統領を、現在収監中のパラナ州クリチバの連邦警察特別室からサンパウロ州の一般刑務所に移すとの判断を下した。だが、「収監中の安全が保証されない」ことなどから強く反対する声が起こり、同日午後、最高裁が圧倒的多数により、連邦地裁の判断を却下した。8日付伯字紙が報じている。
ルーラ氏の収監先移動の話は、連邦警察のルシアノ・フローレス司令官が訴えたものだった。同司令官によると、ルーラ氏が収容されていることで、「パラナ州連警の機能に甚大な影響が出ている」とのことだった。一部報道では、同州連警は18年4月のルーラ氏収監以来、毎月の費用が約30万レアルの増額したという。
パラナ州連邦裁判所で懲罰執行を担当するカロリナ・レボス判事はこの訴えを認め、午前8時33分にサンパウロ州に移す判断を下した。
これを受け、サンパウロ州の刑務所のコーディネートと監査を担当するパウロ・エドゥアルド・ソルシ判事が正午に、ルーラ氏をサンパウロ州トレンベーの刑務所に送る判断を下したが、これが物議を醸した。
それはトレンベーの刑務所が、過去にブラジルのニュースをにぎわせたような凶悪殺人犯などを収監している刑務所として知られていたからだ。
この裁定を受け、ルーラ氏担当の弁護士たちは最高裁にレボス判事の判断への不服を訴えた。彼らは、ルーラ氏の釈放を第一に求め、それがかなわない場合はパラナ州での収監続行を求めた。弁護士たちは、今回の判断が、2017年の1審で当時のセルジオ・モロ判事(現法相)が下した、大統領経験者という経歴や安全性を加味した場所で収監という判断と矛盾すると主張した。
また、ルーラ氏が所属する労働者党(PT)のグレイシ・ホフマン党首も、「これはルーラ氏に対するさらなる迫害だ」と抗議した。
この判断に対しては、連邦議員からも反対の声があがった。まず、ロドリゴ・マイア議長(民主党・DEM)が反対の意向を示し、最高裁のジアス・トフォリ長官に電話をかけ、議員団の受け入れを要請した。その後、12政党・70人の下議が最高裁に赴き、ルーラ氏の移動反対を訴えた。
最高裁に赴いた一団には、PTをはじめとする左派政党だけでなく、民主運動(MDB)や自由党(PL)などの中道、中道右派、さらにPTの対立政党として知られる民主社会党(PSDB)の議員も含まれていた。
ルーラ氏の弁護団の訴えは、ジウマール・メンデス判事とトフォリ長官を経て、ラヴァ・ジャット作戦報告官であるエジソン・ファキン判事の手に委ねられた。同件は午後5時20分過ぎに大法廷での審理にかけられ、マルコ・アウレーリオ・メロ判事以外の判事が全員、「ルーラ氏はパラナ州連警の特別室に残すべき」とのファキン判事の判断を支持。レボス判事の判断は9時間後に、10対1の大差で却下されることとなった。