【既報関連】ブラジル連邦下院議会は7日、社会保障制度改革の憲法改正案の第2回目の採決の内、修正動議(destaque)の審議を行い、修正動議全てを否決した。これにより、社会保障制度改革関連所手続きの舞台は上院へと移った。8日付現地各紙が報じた。
6日午後に始まった基本文書(texto-base)の審議は、7日未明に賛成370、反対124で承認されて終わり、7日には、歳出削減規模を縮小させる八つの修正動議の審議が行われた。
修正動議の審議でもロドリゴ・マイア議長(民主党・DEM)の指導力は遺憾なく発揮され、8件を全て却下。歳出削減規模9330億レアルを保ったまま、7日の修正動議審議は終了した。マイア議長は、7日夜10時37分に、「我々の第2回採決における勝利は、下院は対話によって成り立っていることの証拠だ。意見の不一致が多いテーマだが、各政党が敬意を持ち、対話に応じる度量を見せた」とツイートした。
修正動議採決の終盤にはパウロ・ゲデス経済相も姿を見せ、「結果に大変満足している。マイア議長のすばらしい仕事に感謝したい」との言葉で、議長を賞賛した。
社会保障制度改革の承認手続きは今後、上院扱いとなる。下院が承認した文書はまず、上院の本会議で読み上げられた後、憲政委員会(CCJ)に回される。CCJを通過した後の本会議採決では、定数81人中49人の賛成が2回必要だ。
政府は、州や市などの地方公務員の年金改革も望んでいたが、下院ではそれは叶わなかった。下院から送られてきた社会保障改革案に、地方公務員の年金改革も書き加えてしまうと、上院で承認後、下院に差し戻す必要があるため、上院では、下院から送られてきた案を手をつけずに承認する見込みだ。地方公務員の件は、上院が作成した別個の社会保障制度改革案(texto-paralelo)として承認後、下院に送る意向だ。
一方、政府は、下院の2回目採決で万全を期すために、採決直前に30億レアルに及ぶ追加予算を約束していたが、「それらが本当に実行されるかは今後の税収次第」と地元紙は報じている。一部の議員は、「プレゼントの入っていない箱だけ渡されたようなもの」と憤慨している。下院での承認結果は変わらないが、上院でこの事が尾を引く可能性は否定しきれない。