ブラジル国内ニュース

《ブラジル》モロ法相が三権全てから四面楚歌に=最高裁からは2件で敗退=議会からは看板法案に修正=ボルソナロの態度に変化も

8日のモロ法相(José Cruz/Agência Brasil)

 6月9日にはじまった「ヴァザ・ジャット」報道で、ラヴァ・ジャット作戦担当判事時代の疑惑が立て続けに報道され、苦境に立たされているセルジオ・モロ法相が、現在、司法、立法、行政の三権の全てから孤立した状況に置かれていると、9日付現地紙が報じている。

 「ヴァザ・ジャット」での報道開始以降、辞任にこそ追い込まれてはいないが、モロ法相の立場は、8月になってさらに苦しくなっている。
 まず、司法では二つの点で、最高裁からモロ氏に不利な判断があった。ひとつは同法相が7月に「ヴァザ・ジャット」の元となったと思しき、自身の携帯電話の内容も含むハッカーの情報を「内容を破棄しろ」と命令したことで反発を招き、5日に最高裁がハッキング内容のコピーの提出を命じたこと。もうひとつは、7日に同法相の傘下にある連邦警察がルーラ元大統領の収監先の移動を求めたところ、最高裁が投票結果10対1で却下したことだ。
 また、立法では6日、同法相が就任時から目玉にしてきた「犯罪防止法案」を検討している下議グループが、「検察、被告、判事間の司法取引(プリー・バーゲン)」の条項を取り除いた。プリー・バーゲンは、ラヴァ・ジャット作戦などで使われた司法取引(報奨付供述)と違い、共犯者らの名前をあげる必要はなく、自分自身の罪を告白すれば裁判も終ってしまう。下議グループは休会前にも、2審判決後の刑執行の条項を却下している。下議グループによる修正作業は来週も続く見込みだ。
 そこに加えて、7日、モロ氏はボルソナロ大統領から「現在は社会保障制度改革などの経済関連法案を優先したいので、犯罪防止法案の審議は辛抱してくれ」と告げられた。大統領からはさらに、「判事の時はペンを持てば(判決文にサインすれば)それで終わりだが、大臣はそうは行かない」とも言われた。
 この発言はモロ氏や同氏側近に驚きを持って迎えられた。それは、ボルソナロ氏がモロ氏を「国の英雄」として、従来以上の権限を与える形で法相に迎えたこと、また、「ヴァザ・ジャット」以降も大統領がモロ氏をかばい続けていたためだ。
 報道によると、ボルソナロ氏は、モロ氏がハッカーがつかんだ証拠の消去を命じたときに不快感を示していたという。実際、大統領はその直後、モロ氏に対して反対意見を表明している。
 また、ボルソナロ氏は先日来、パウロ・ゲデス経済相に金融活動管理審議会(COAF)のロベルト・レオネル議長の解任を求めている。COAFは5月に連邦議会の反対で経済省傘下に移されるまで法省傘下でモロ氏が強い思い入れをもっていた機関で、レオネル氏もモロ氏が国税庁から引き抜いてきた。だが、大統領長男のフラヴィオ氏の弁護士からの要請で、ジアス・トフォリ最高裁長官が司法の許可を得る前にCOAFの情報を使ってはじめた捜査の中止を命じた後、この判断を批判していた。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button